長年天文学の研究・教育に携わってきた天文学者の視点で書かれた解析力学の入門書です。天文学に興味があるが、解析力学を学んでおきたいという学部生を主な読者として想定しています。量子論の古典極限という視点で解析力学を捉え直すことで、解析力学に現れる物理量がなぜその形になるのか、原理がなぜそうなるのか、物理的理解を与えることを試みています。そのために、必要となる光波を中心とした波動の基礎についても詳しく解説しています。解析力学の入門に留まらず、天文学の研究において実用的に役に立つ関連事項を多数盛り込みました。また、重力レンズ効果やアハラノフーボーム効果など、観測や実験事実を取り上げて、実証された理論体系であることを示しています。解析力学は、宇宙に秘められた美しさを顕在化してくれる学問であることができる限り伝わるように努めて執筆しました。
第1章 変分原理
1.1 オイラーの微分方程式
1.2 ラグランジュの未定乗数法
1.3 フェルマーの原理
1.4 モーペルテュイの原理
1.5 ラグランジュ関数
1.6 位相空間
1.7 オイラーーラグランジュ方程式
1.8 拘束条件がある系のラグランジュ形式
付録A
A.1 オイラーーラグランジュ方程式の運動方程式からの導出
A.2 光の回折と観測の不確定性関係
A.3 粒子の速度が光速に近いときの自由粒子のラグランジアン
A.4 波動の基礎
A.5 物質波のモデルとしての連成振り子
第2章 系の対称性と保存量
2.1 系の対称性と保存量
2.2 循環座標
2.3 ネーターの定理
第3章 正準形式
3.1 ルジャンドル変換
3.2 正準形式
3.3 正準変換と母関数
3.4 ポアソン括弧式
3.5 系の対称性と無限小変換の母関数の保存
3.6 正準変換としての正準運動方程式
3.7 非慣性系の正準形式
3.8 電磁場中の荷電粒子の運動を記述する正準形式
3.9 リウヴィルの定理
3.10 ビリアル定理
付録B
B.1 ルジャンドル変換の応用例:強磁性転移
B.2 電磁場ポテンシャルのゲージ変換自由度
B.3 アハラノフーボーム効果
B.4 非圧縮性流体
B.5 3次元空間を運動する粒子系のリウヴィルの定理の証明
B.6 無衝突ボルツマン方程式
B.7 リウヴィルの定理の幾何光学への応用:エテンデュの保存
第4章 断熱不変量およびハミルトンーヤコビ理論
4.1 断熱不変量
4.2 作用変数と運動の周期
4.3 前期量子論で作用変数が活躍した理由
4.4 ケプラー運動の作用変数を用いた解析
4.5 アイコナール方程式
4.6 ハミルトンーヤコビ方程式
4.7 ハミルトンーヤコビ方程式とラグランジュ形式の関係
4.8 シュレーディンガー方程式とハミルトンーヤコビ方程式
4.9 ハミルトンの特性関数
4.10 作用変数と角変数
付録C
C.1 ポアンカレの積分不変式
C.2 アイコナール方程式の導出
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