ツキにからかわれるのも、人生長い目で見れば悪いことではない。
年々歳々、馬とともに春夏秋冬をめぐり、移り変わる人と時代を見つめ続けた作家の足跡。
日本文学の巨星が三十余年にわたり書き継いだ名篇エッセイ、初書籍化。
編・解説:高橋源一郎
何年先のことになるやら、たとえばダービーの日のスタンドかテレビの前で、そういえばあの男、このダービーをもう知らないんだ、と生前の私のことをちらりと思い出す人がいるかもしれない、と今からそんなことを考えると、心細いようで、あんがい、慰められる気持ちになる。自分一個の生涯を超えて続く楽しみを持つことは、そしてその楽しみを共にする人たちがこれからも大勢いると考えられることは、自分の生涯が先へ先へ、はるか遠くまで送られて行く、リレーされて行くようで、ありがたいことだ。
(本文より)
レビュー(3件)
オグリ前・オグリ中・オグリ後
著名な文学作家の競馬ファンは多いですが、古井由吉さんは1980年代から長年、中央競馬会(JRA)広報機関誌・月刊「優駿」で連載文を書かれていました。 とても懐かしく読みました。 まだオグリキャップが登場する前から連載が始まりました。 そして競馬の大ブームとともに、筆者が時代の流れに飲み込まれながら?の言動があふれるシリーズだったのを覚えています。 その頃は、古井さんがそんな大先生とは知らず(私も若かった)、連載が進むとともに、この連載のファンになっていました。 懐かしく読みました。当然、自分がその時何をしていたか思い出しながら。 古井由吉さんが、亡くなられていたのを知り、いくつか作品を読もうとも思いました。