「演歌は日本の心」と聞いて、疑問に思う人は少ないだろう。落語や歌舞伎同様、近代化以前から受け継がれてきたものと認識されているかもしれない。ところが、それがたかだか四〇年程度の歴史しかない、ごく新しいものだとしたら?本書では、明治の自由民権運動の中で現われ、昭和初期に衰退した「演歌」-当時は「歌による演説」を意味していたーが、一九六〇年代後半に別な文脈で復興し、やがて「真正な日本の文化」とみなされるようになった過程と意味を、膨大な資料と具体例によって論じる。いったい誰が、どういう目的で、「演歌」を創ったのか。
レビュー(22件)
「演歌」って、なんだろう?
生まれた時から演歌がある時代に育ったので、演歌はずっと昔からあるものだと思っていました。しかし、演歌=「古くからある日本の心」という思い込みに一石を投じこんだのが本書です。 「レコード歌謡」(レコードやCD等、消費財としての歌曲)の歴史を紐解き、「演歌」をひとつのジャンルとして歌謡史に組み込んで語ろうとするとかえって邪魔になる、というのが印象的でした。 演歌と聞いてぱっと浮かぶステロタイプなスタイル――、本書を読み終えた後、このステロタイプなスタイルは足元からぐらつかされるだろう、と思います。たかだか40年ほどの歴史しかなく、現在の形が成立するまでに他のジャンルからの取り入れ、スタイルの紆余曲折等があったのに、昔から演歌は現在とほぼ同じだった、という思い込みが崩されるのですから。
読み応えあり・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。