本書の読者の方々は,水理学の単位がほしい学生から,現象の本質まで詳しく知りたい学部生や大学院生,そして水工学の研究や実務の参考としたい研究者や技術者までさまざまであることを想定し,その目的に応じて学習がしやすいように2部構成とした。
第I部は水理学の全体像をつかんでもらえるよう,1章「静水力学」,2章「完全流体の力学」,3章「管路流れ」,4章「開水路流れ」,5章「次元解析・相似則」,6章「ポテンシャル流理論」の順に,それぞれポイントを整理し,例題を通して理解を深めることができるようにした。また,章末の演習問題には詳細な解答,解説を用意し,習熟度の確認および自習がしやすいよう配慮した。水理学の単位取得が目的であれば,この第I部を「水理学の試験対策編」として活用していただくのが有効である。
第II部は「水理学のカラクリ編」として,7章「静水の科学」,8章「完全流体の微分形表示」,9章「粘性流体の微分形表示」,10章「積分型水理公式の導出」,11章「層流と乱流」,12章「管路乱流」,13章「開水路乱流」,14章「複素速度ポテンシャルによる流れの数学的表現」の順に,流体力学的な視点から水理学で扱う公式や現象を詳しく解説した。例えばベルヌーイの定理など通常は暗記で済ます式形も,その導出や学術背景について述べ,水理学の理解をさらに深める内容とした。また乱流の基本的な考え方について,基礎方程式やその発生メカニズムなどについても扱った。とくに付録も含めて式展開も記載しているので,卒業研究や修士論文の一助にもなるだろう。第I部だけでは物足りない読者の方々には,関心のある章だけでも読んでいただくなど,第II部をおおいに活用していただきたい。
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