翻弄されるいのちと文学 震災の後、コロナの渦中、「戦争前」に
本書は、3・11東日本大震災と福島原発事故後を、新型コロナパンデミックに撹拌される差別意識を、「新しい戦前」のきな臭さを、文学作品に読み、それでいいのか、と問い返す文芸評論集です。
著者はそれを、たとえば、西条八十が「馬のションベン渡し船だからなぁ」と言って軍歌を作り続けたような、「しかたがない、しかたがない」と流され、流れる……、と指摘します。
翻弄されるいのちと文学の、「ろうそく一本の抵抗」(水上勉)をこころみて生きていきたいという願いがこめられています。
1 三・一一と原発事故後の文学
三・一一から、三・一一へ
核エネルギー認識と三・一一後の文学
個をつなぎ、連帯を求めて
「私」から「私」を越えて
ろうそく一本の抵抗ー水上勉と若狭原発
三・一一後に読む『こつなぎ物語』
2 パンデミックが撹拌する差別意識
「朝鮮」と呼べたときー小説『大阪環状線』の「在日韓国・朝鮮人」をめぐって
痼疾としての差別意識
パンデミックとシェイクスピア、あるいは石井四郎軍医中将
“馬のションベン”と軍歌までの距離
文学が障害者の「障壁」になるとき
3「新しい戦前」に「戦争」を読む
夏に読む大岡昇平
日中戦争と五味川純平
戦争加害をえがくということー洲之内徹とその小説の評価をめぐって
早乙女勝元と東京大空襲
大江健三郎と天皇(制)、また「戦後民主主義」-「セヴンティーン」から「晩年様式集」まで
「平和」と「勝利」と「民主」という思想ー大江健三郎の二つのノートから
ドイツの「沈黙」、ニッポンの「沈黙」
あとがき
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