●本書の仮の表題を,私流の精神分析入門書『対象関係論を学ぶ』の続編との位置づけから,その「立志編」としていました。同書を読んで,もっとこの考え方を学んでみようとの志を抱かれた方に読んでいただこうという意図からです。--構想十余年を経て,待望の書き下ろし。今もっとも明快なビオン入門。
●目次
はじめに,あるいは迷い猫のブルーズーー長めのまえがき
第1部 内的体験
1.コンテイナー/コンテインド
2.破局ーー破局の恐怖
3.PsとD (妄想ー分裂心性と抑うつ心性)
4.連続と中断
5.正と負ーーポジティヴとネガティヴ
6.パーソナリティの精神病部分と非精神病部分
7.考えることとグリッド
8.エディプスと知
第2部 精神分析での関係性
9.言語による交わりーー創造としての交わり
10.Kリンクーー経験から学ぶための関係性
11.母親と乳児の関係についてのモデル
12.もの想い
13.共生,寄生,共存
14.変形
15.視点
第3部 精神分析家であること
分析家とは何なのか
16.知らないことにもちこたえることーー負の能力
17.進展;選択された事実,未飽和の考え,考える人のいない考え
18.記憶なく,欲望なく,理解なく
19.誠実な信頼
20.直感,あるいは,Oになること
21.解釈と達成の言語
22.神秘家(Mystic)
終章 ビオンに学べないこと
おわりにーーもうひとつの猫の物語
付録1.ビオンの人生史 付録2.ビオンの業績 付録3.ビオン関連書
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 本 書 の 解 説 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
本書は3部の構成になっています。ただこの分割は便宜上のものであって,実際には連続かつ重複するものです。また私自身が,読者により十分に理解してもらいたいと願い,重複をいとわず記述しました。ですから,主題や概念によっては何度も顔を出してきます。それでも第1部は,内的体験と表題して,おもに個人のこころの中に起こっていることの理解に焦点をあてています。当然ながら,精神分析学は個人のこころを理解しようとする学問ですから,まずそこを深めていきます。ただ私たちのこころの世界である無意識的空想は,私たちの外界に置かれていること,すなわち私たちは私たちの世界観を通して見ている外界という内的世界に棲んでいるとのビオンに学んだことも忘れてはなりません。また,個人のこころは対象との関係で築かれるものです。精神分析も,関係において働きかけをなそうとするものです。そこで第2部ではより直接に,関係性に注目しています。最後の第3部では,私たちが精神分析の臨床家であることについて見ていきます。その事実をどのように受け入れ,どのように実践するかは,私たちが精神分析に携わる以上,繰り返し考え続けるべき課題です。それを,ビオンの視点を参照にして見つめてみましょう。『対象関係論を学ぶ』は,ビオンの基本的な概念のひとつであるコンテイナー/コンテインドを紹介する章で終わりました。そこで本書は,そのコンテイナー/コンテインドから始まります。(「はじめに」より)
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