内容もですが特に文体が好みではありませんでした。 ちょっと堅苦しいというか私の求めているものと違いました。,梨木香歩さんの本は、どれも遜色ありません。こちらもあっという間に読了でした。もう少しゆっくり読めば良かったと、また再読しています。,西の魔女の頃から好きな小説家ですが、軽やかなエッセイも好きでした。しかし久々にこちらの随筆を読んでみると、同じ繊細な目線ではあるものの爽やかで軽やかな雰囲気はなく、ところどころに他人を悪く言わないための配慮のようなものを感じる表現があったように思います。そもそも批判する必要がないから批判しない。しかし、筆者にとっては心地良くはなかったのかなって思ってしまう他人への表現に、作家さんも長い年月の間に色々な体験をして更に大人になっていくし、歳を取るし、性格も変わってくるのだろうと、興味深く感じました。 10年以上前のエッセイと比べると、少し重くなった感じがしますが、感性や紡ぎ方は相変わらず素敵でした。今読みながらも、また数年経って何かが変わったこの作者の本を読みたくなる一冊。過去も未来も、素敵な一面が素敵な一文で感じられたら良いなって思います。,ほっとした。最近読んだこの著者のわりと新しめの小説が、ちょっと雰囲気の違うものだったから。でもこの作品は(小説ではなくエッセイだけれど)私の好きな梨木果歩のトーン――やわらかく流れるような、でも厳しくてつめたい、暗澹としたものを内に秘めた――で語られていて、なんだかやけに安心してしまった。 同時に、これまでの作品群に対する作者と作品との間の出来事も語られていて、『春になったら苺を摘みに』の続編のような位置付けともいえるし、『りかさん』の一場面を彷彿させる挿話もあったりして、ファンにはそういう細部までがうれしい。 そもそも題名が『不思議な羅針盤』だもの、それだけでわくわくして、新本で買わずにはいられない一冊だった。
レビュー(50件)
内容もですが特に文体が好みではありませんでした。 ちょっと堅苦しいというか私の求めているものと違いました。
梨木香歩さんの本は、どれも遜色ありません。こちらもあっという間に読了でした。もう少しゆっくり読めば良かったと、また再読しています。
作者の繊細な感性
西の魔女の頃から好きな小説家ですが、軽やかなエッセイも好きでした。しかし久々にこちらの随筆を読んでみると、同じ繊細な目線ではあるものの爽やかで軽やかな雰囲気はなく、ところどころに他人を悪く言わないための配慮のようなものを感じる表現があったように思います。そもそも批判する必要がないから批判しない。しかし、筆者にとっては心地良くはなかったのかなって思ってしまう他人への表現に、作家さんも長い年月の間に色々な体験をして更に大人になっていくし、歳を取るし、性格も変わってくるのだろうと、興味深く感じました。 10年以上前のエッセイと比べると、少し重くなった感じがしますが、感性や紡ぎ方は相変わらず素敵でした。今読みながらも、また数年経って何かが変わったこの作者の本を読みたくなる一冊。過去も未来も、素敵な一面が素敵な一文で感じられたら良いなって思います。
梨木果歩らしいエッセイ集
ほっとした。最近読んだこの著者のわりと新しめの小説が、ちょっと雰囲気の違うものだったから。でもこの作品は(小説ではなくエッセイだけれど)私の好きな梨木果歩のトーン――やわらかく流れるような、でも厳しくてつめたい、暗澹としたものを内に秘めた――で語られていて、なんだかやけに安心してしまった。 同時に、これまでの作品群に対する作者と作品との間の出来事も語られていて、『春になったら苺を摘みに』の続編のような位置付けともいえるし、『りかさん』の一場面を彷彿させる挿話もあったりして、ファンにはそういう細部までがうれしい。 そもそも題名が『不思議な羅針盤』だもの、それだけでわくわくして、新本で買わずにはいられない一冊だった。