『浪花百景』は幕末に成立した名所錦絵の代表作で、中判組物、全102点(目録2点含む)からなる。歌川国員、南粋亭芳雪、里の家芳瀧の歌川派絵師三人による合作で、大坂船場の板元、石川屋和助から刊行された。その美術的価値から展覧会でもたびたび公開され、地誌・郷土史の基本史料としても盛んに参照されている。しかしながら、作品そのものについての本格的な研究は近年緒についたばかりで、美術作品としての評価や比較検証も、絵にこめられた意味の解読もまだこれからである。本書の目的は、まず、保存状態が最良の完本を原寸復刻し、極力実物に近づけ美麗に印刷再現した鑑賞性の高い画集とすることにある。さらに、初めての本格的な研究書として、地誌的観点と美術史的観点で多角的に作品解説をほどこし、概説から絵師の画業と特性、異なる摺りの比較研究など、各種の論考を備える。各館の作品所蔵状況を調査した一覧資料や関連図版・参考文献も付し、将来の発展的研究に資する基本文献となることを目指す。
はじめに
凡例
◆第一章 論考編
『浪花百景』の世界ーー読み解くための手引き 橋爪節也
『浪花百景』を描いた三人の絵師たちーー国員・芳雪・芳瀧 曽田めぐみ
◆第二章 図版編(原寸復刻)
目録二点・第一景〜第百景
◆第三章 作品解説編
目録二点・第一景〜第百景 橋爪節也・曽田めぐみ・澤井浩一・船越幹央・俵和馬・島崎未央
◆第四章 研究・資料編
『浪花百景』研究史 曽田めぐみ
各館所蔵作品の異同 曽田めぐみ
所蔵館一覧
掲載作品一覧
現在地略地図
参考文献
索引
おわりに
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