「スイス銀行秘密」の真実、そして2009年米政府・スイス銀行間の訴訟事件と政府間合意の実態とは? 事件の背景を緻密に追究し、双方可罰性を厳守してきたスイス銀行の真実を、現代に至るまでの世界の動向を踏まえて膨大な資料をもとに解き明かす。国際課税そして「租税条約上の情報交換」問題の構造化に挑んだ著者渾身の書。
はしがき (v)
序 章 1
1 本書の基本的意図と構成 (1)
2 「スイスの銀行秘密」──「その成立とナチス・ドイツとの関係」を含めた,押さえておくべき重要な諸点について (4)
第1章 「IRS vs. UBS事件」の展開過程と「同事件に関する“スイスの国家的選択”」──その実像解明の必要性 13
1 UBSに対する米国側の一方的措置の内実と事件の推移 (13)
2 米国裁判所に対して提出されたスイス政府の「法廷の友(amicus curiae)」としての意見書(2009年4月30日&7月7日)──「1951年米・スイス旧租税条約」及び「マーク・リッチ(Marc Rich)事件」等との関係を含めて (24)
3 米・スイス両国政府間の「UBS合意」(2009年8月19日署名)の内容と注意すべき点──「米国の一方的措置の抑止確約(!)」・「双方可罰性要件の堅持」といった「スイス側の論理の貫徹(!)」 (79)
4 「UBS合意」をめぐるスイス国内での法的論議の展開プロセス──「スイス国内法に基づく権利者保護の貫徹」とスイス連邦行政裁判所判決(2010年1月21日)のインパクト (91)
5 「UBS合意修正プロトコル」(2010年3月31日)とそのスイス議会通過(同年6月17日) (114)
6 小 括 (125)
第2章 「従来のスイスにおける租税条約上の情報交換」と「堅持されていた“双方可罰性の要件”」 129
1 “Tax fraud or the like”とスイスの国際刑事司法共助──従来のスイスの基本的な法制度的枠組について (131)
2 従来のスイスにおける「他の諸国との租税条約上の情報交換」の時系列的な展開過程─「2008年版OECDモデル租税条約26条についてのスイスの留保」との関係において (155)
3 典型としての「独・スイス租税条約改正プロトコル」(2002年3月12日署名) (313)
4 「双方可罰性の要件」に対するOECD側からの不当な(!?)攻撃──「2004年のスイス側報告書」との関係において (353)
第3章 「IRS vs. UBS事件」の展開過程でなされた「スイスの重大な政策変更」(2009年3月13日)──2008年版OECDモデル租税条約26条についてのスイスの留保の撤回とスイス銀行秘密 413
1 2008年版OECDモデル租税条約26条の規律内容についての再確認──2010年版同条約26条,及び,「OECDマルチ税務執行共助条約への署名に対応したわが国内法整備」等との関係において (413)
2 「IRS vs. UBS事件」と併行してなされた「米・スイス租税条約」の改正(2009年9月23日署名)──「OECD基準」を越えたその規定振り(!?)とスイス政府の国内向けの公的説明 (586)
3 「対デンマーク」(2009年8月21日)を出発点とする『「対米」に先行する「他の諸国との租税条約改正」』における新たな情報交換条項を含めての比較検討──「OECDモデル租税条約26条に関するコメンタリー」との関係? (603)
4 「日・スイス租税条約改正プロトコル」(2010年5月21日署名)の情報交換条項──そこにおける「引渡された情報の『他目的使用』の規定の欠如」とその周辺 (638)
第4章 OECDのタックス・ヘイブン対策と「租税条約上の情報交換」──スイスの政策変更との関係において 647
1 その展開過程と留意点──「タックス・ヘイブンの定義」をめぐる不可解な展開を含めて (647)
2 G20及びグローバル・フォーラムにおける論議とスイス等四カ国の抵抗,そして,OECDへのスイス政府の苦情(2009年4月28日)──再び「2004年のスイス側報告書」との関係において (669)
3 スイスの「政治的決断」(2009年3月13日)と「法制度的な重大な岐路(!?)」──果たしてそれは「乗り越えられるべき壁」だったのか? (673)
4 「国境を渡った情報の他目的使用」の際限なき拡大──その史的展開と「ループホール化する課税(?)」 (675)
5 「最後の砦」としてのスイス国内での行政訴訟?──今まさに問われる「個々人の人権感覚」と「社会的復元力」 (681)
6 出発点に戻って再度問うべき「日本の対応」──「国境でメルトダウンする人権保障」(!)との関係において (683)
結 章 685
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