海外の小説や絵画等でときに「失楽園」に触れることがあり、どんなものかと興味を持って読み始めた。叙事詩は小説に比べ余白が多く、これなら早く読み終わると思ったがすぐ壁にぶち当たった。平井正穂氏の格調高い訳文は難語が多い古風な文体で、通読するのに時間を要した。またキリスト教の基礎知識が乏しい小生にはなかなか概念が把握できない。理解の助けとなる膨大な「訳注」には只々感服するのみである。 下巻末の訳者解説によれば、『失楽園』は旧約聖書の「創世記」の記述にもとづく、アダムとイーヴの楽園喪失についての叙事詩であるという。権謀術数をはりめぐらすサタンと神との「内乱」の顛末は実にドラマチックである。一方、楽園で天使のような生活をしていたアダムとイーヴが禁断の実を食べた後互いに非難しあい、なんの実りもない時間を費やすのはとても人間臭い。ともあれ、この作品は宗教的意識がなければ理解することは難しそうだ。,この本の内容を把握し理解するのは、普通の日本人の宗教感では無理です、キリスト教の方であれば出来るのかな。,平井正穂氏の訳はあちこちで好評なので、こちらに決めました。 詩を読むのが苦手なため、興味はあるものの長年手を出せずにいた作品ですが、頑張って読破してみようと思います。,読む前から高評価の作品は「アレ?」って事も多いのだが、この訳者は非常に日本語訳がすばらしいです。単なる訳者ではなく、あきらかに研究者の類い。訳注をかなりのページ数あてており、大変難解になりやすいミルトンの作風を解りやすくまとめてあると思います。,まるで長編映画のようで、のめりこんでしまいます。
レビュー(44件)
アダムとイーヴの楽園喪失についての叙事詩
海外の小説や絵画等でときに「失楽園」に触れることがあり、どんなものかと興味を持って読み始めた。叙事詩は小説に比べ余白が多く、これなら早く読み終わると思ったがすぐ壁にぶち当たった。平井正穂氏の格調高い訳文は難語が多い古風な文体で、通読するのに時間を要した。またキリスト教の基礎知識が乏しい小生にはなかなか概念が把握できない。理解の助けとなる膨大な「訳注」には只々感服するのみである。 下巻末の訳者解説によれば、『失楽園』は旧約聖書の「創世記」の記述にもとづく、アダムとイーヴの楽園喪失についての叙事詩であるという。権謀術数をはりめぐらすサタンと神との「内乱」の顛末は実にドラマチックである。一方、楽園で天使のような生活をしていたアダムとイーヴが禁断の実を食べた後互いに非難しあい、なんの実りもない時間を費やすのはとても人間臭い。ともあれ、この作品は宗教的意識がなければ理解することは難しそうだ。
対応早い
この本の内容を把握し理解するのは、普通の日本人の宗教感では無理です、キリスト教の方であれば出来るのかな。
平井正穂氏の訳はあちこちで好評なので、こちらに決めました。 詩を読むのが苦手なため、興味はあるものの長年手を出せずにいた作品ですが、頑張って読破してみようと思います。
読む前から高評価の作品は「アレ?」って事も多いのだが、この訳者は非常に日本語訳がすばらしいです。単なる訳者ではなく、あきらかに研究者の類い。訳注をかなりのページ数あてており、大変難解になりやすいミルトンの作風を解りやすくまとめてあると思います。
まるで長編映画のようで、のめりこんでしまいます。