管理会計論は、管理会計が組織の制度的枠組みにより構成されたシステムというよりも、むしろ、経営管理活動の条件であるという認識のもとに技法の発展を支えてきたといえる。この場合、管理会計論は、管理会計を技術進歩の成果とみるよりもむしろ技術の適用面に論点を据えてきたように思われる。現代のアメリカ管理会計論では、管理会計の提供する情報が組織の意思決定および業績評価に役立てられなければ、適合性を喪失したことになる。この意味で、管理会計は、組織の経営管理活動において生ずる問題の把握と解決への貢献的機能を期待される形態である。管理会計論は、こうした計数管理活動の把握を通じて、会計的方法を構成する理論として展開してきた面があるといえる。近年、注目されてきたいわゆる管理会計に関する環境適合性の喪失の意味は、このような理論展開を基礎に持つものであるとみることができる。しかし、管理会計論は、なに故にそうなのかということをも課題としなければならない。
著者は、このような問題意識に基づいてこそ管理会計のダイナミックな動きを把握できると考えるものである。そこで、本書では、現存の管理会計に検討を加えることによって、管理会計の現代的画像の諸特徴を明らかにするとともに当面の理論的課題を析出することになる。その場合、その特徴を浮き彫りにするために、組織コントロールの代表的な管理会計技法である企業予算に焦点を絞り、組織における構造と相互行為の相互規定関係を背景におきながら、企業予算の構造と機能の関係を明らかにする。そのなかで予算管理の諸議論を整理し、検討を加えて展望を行うことにした。
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