〈他者〉への偏見や差別が激化していく不寛容時代に対し、人文学はいかに向き合うべきか。文化人類学や民俗学で蓄積されてきた「異人論」から着想を得て、〈他者〉に対する歓待や排除をめぐる物語・語りを「ナラティヴ・ポリティクス」という視点から読み直し、不寛容時代を乗り越える手掛かりを探る。国立民族学博物館の共同研究の成果をまとめた一冊。
序 章 ナラティヴ・ポリティクスとしての異人論 山 泰幸
第一部〈他者〉をめぐる物語としての異人論の現在
第一章 グローバルデジタル時代の新たな《異人》論へ 西尾哲夫
第二章 渡し守の文学・序説──異人が異人を渡すとき 君野隆久
第三章 異人としての狐──アメリカのナラティヴに変容する東アジアの民話 カルディ・ルチャーナ
補論一 研究ノート「寄りもの」と異人伝承──土佐佐賀における祭祀由来譚 川島秀一韓
第二部 フィールドから照射するナラティヴ・ポリティクス
第四章 異人から客家へ──中国広東省の「客」をめぐるナラティヴ・ポリティクス 河合洋尚
第五章 寛容性/非寛容性の観点からみる族譜における女性のナラティヴ──中国の漢族社会の事例に基づいて 韓 敏
第六章 異人歓待の条件──インドの祝言者ヒジュラの通過儀礼 國弘暁子
第七章 現代イランの祭りと異人に対する寛容性 竹原 新
第三部 異類あるいは異なるものをめぐるナラティヴ・ポリティクス
第八章 異類の皮をめぐるナラティヴ・ポリティクス──おとぎ話と現代美術の接点から 村井まや子
第九章 異類と害虫──スズメバチへの態度にみる寛容性と非寛容性 及川祥平
第十章 〈異〉なるものの生成と寛容/非寛容──コロナ禍におけるナラティヴとしての漫画作品より 小川伸彦
第十一章 迷惑・異人・自己責任──「不寛容の時代」とその起源 岩本通弥
第四部 ナラティヴ・ポリティクスを超えて
第十二章 異人としてのろう者との架け橋としての手話民話語り──ろう文化と聴文化、二文化共生社会を目指して 鵜野祐介
第十三章 異人同士のナラティヴ── 発達障害の当事者同士が文学について語りあう 横道 誠
第十四章 炭坑夫の「異人化」と「人間化」──筑豊における炭鉱労働者をめぐる「寛容のナラティヴ」の考察 川松あかり
補論二 異人論の過去・現在・未来 小松和彦(語り手)、西尾哲夫・山 泰幸(聞き手)
あとがき 西尾哲夫
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