本書は、ここ十数年で急増した新出の紡織にかかわる遺物に即して、「糸づくりから織物ができるまで」の一連の技術について考古学の立場から通覧する。弥生〜古墳時代には、麻をはじめとする植物性繊維の製織に対応した、輪状式原始機に代表される輪状系の製織技術が発達したことを明らかにする。一方で、高機・地機といった直状系の製織技術は、古墳時代中期以降に渡来し、しばらく輪状系技術と併存するが、長大な布が織れる技術として主流となる。律令時代には、税として収めるべき織物が分業制のもとで行われたことを文献史学の研究成果をふまえて論じる。
さらに、東アジア周辺の考古学・民族誌の研究成果も積極的に取り入れ、東アジア紡織技術史のなかに位置づける。紡織にかかわる個々の遺物の基礎分析をもとに、古代日本における輪状系製織技術から直状系製織技術への移行をアジア史的な広い視点から描き出す。 京都大学学位論文に加筆し刊行。 2011年3月刊行の『考古学からみた古代日本の紡織』初版が品切れとなり、カラー口絵1頁、中国文要旨、韓国文要旨、索引を追補、『考古学からみた古代日本の紡織 改訂新装版』として増刷。
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