目の病のために一人悩みを秘める高校生・真木が、教室で誰とも交わろうとしない女子生徒・純美と出会い、生きる力を得ていく姿が描かれた青春物語!!
物語は、主人公・真木の語りですすめられていく。
時は安保反対の嵐が吹き荒れていた時代。全盲になることを宣告され、悶々とする心のやり場を探して家を飛び出し、都会に出た「僕」……。その街で入った高校で、誰とも話したがらず、いつも教室の一番前の席で本に目を落としている女子生徒・純美に出会う。
ふとした事件から二人は秘密を共有するようになり、心の距離を縮めていく。
だが、高二になると純美は休学してしまった。
高二になった「僕」は、気のすすまぬまま柔道部の主将を引き受け、日々練習に明け暮れる。1年生の時に同じクラスだった女子で、生徒会長になった河田が連れてきた下級生・恵子は、下宿のおばさんの親戚で、近所に住む子だった。恵子は時々下宿に来るようになった。
三年生になると、「僕」の悩みは一気に深まる。
県の柔道大会を前に鎖骨を骨折、けがを押して出場し見事優勝するが、「まぐれだ、まぐれだ」と、心が叫んで素直に喜べない。それに、進路指導の教師には目の病気を理由に「受験する大学を替えろ」と進路変更を迫られている。
二学期になると進路の問題は一層重くのしかかって、何をする気にもなれない。
葛藤する「僕」に力をくれたのは、復学してきた純美だった。
純美から聞いた祖母が言ったという言葉と、引きこもっていた殻から抜け出して新たな未来に向かおうとしている純美自身の姿に打たれたのだった。
「僕」は、彼女も大きな絶望の中にあったことを知った。
二人はお城の堀の水を見つめながら語り合った。
学校近くの鎮守の杜で、涙を流しながら明日を誓った。
春になると、あの日の椿は、今もあの森に咲いているのだろうか……?
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