本書は、フーコーの『カントの人間学』を詳細に検討することによって、フーコーがカントの経験化された批判哲学を見出していたこと明らかにし、そこから出発してフーコーの試みを解釈した。従来のフーコー研究は、フーコーの試みを前期・中期・後期に分割して議論されてきたが、本書はそのような立場ではなく、フーコーの批判的考察に着目し、思考の道程を解明することで、西洋哲学史におけるフーコーの位置づけを再検討した。
人間文化研究叢書の創刊にあたって
はじめに
凡 例
第1章 「批判」の思想史とフーコーの「批判」
1 フーコーと「批判」
2 「批判」と歴史的批判──批判的思考様態としてのエピステモロジー
3 フーコーの「批判」
第2章 若きフーコーのカント解釈と「批判」の経験化
1 「批判」と『人間学』とアナロジー
2 経験化された「批判」としての人間学
3 人間学的考察とは何か
4 カント哲学の三区分と二つの有限性
第3章 経験的「批判」の歴史化
1 言語をとおした歴史的批判
2 空虚な医学──疾病分類学的医学と社会空間の医学
3 臨床医学の誕生──病の実体を観察し,言語のなかで再現する医学
4 実証的医学の誕生──身体の内部を観察し,器官の損傷を語る医学
5 知の発展の形態と具体的ア・プリオリ
第4章 エピステーメーとそのモデル
1 揺れるフーコー
2 事物の秩序と記号の秩序
3 表象の二重化と古典主義時代の知の三項関係
4 エピステーメーとその構造
第5章 批判的思考の三様態
1 カントにおける「批判」と擬ー批判としての「人間」学
2 三つの混同の場としての「人間」
3 第三の批判的思考様態と「人間」の解体
第6章 第三の批判的思考様態としての考古学
1 「批判」と考古学
2 考古学の諸概念
3 考古学的批判
第7章 技術論と認識論の円環と対象化された対象
1 技術論の導入
2 三つの刑罰
3 個人化することと個人を認識すること
4 矯正の失敗と社会の分断
5 魂を中心とした権力論
第8章 自己にかんする技術論
1 主体性の技術論
2 真理・自由・美
3 主体性の技術論の問題化の形式と権力の技術論
4 歴史的批判の道程
おわりに
参考文献
索引
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