鎌倉時代前期、武家階級に活力ある政権を奪われた京都では、古来の政治・経済の基盤を失いかけた貴族たちは退廃的な生活にひたっていた。この風潮の中で、家柄と容色と才智にめぐまれた、久我(こが)雅忠の女(むすめ)がその異常な生涯を自らの手で記したのが『とはずがたり』である。14歳の春、無理に後深草院の後宮にされて一皇子を生みながら、複数の男性とも愛欲の生活を続ける大胆・奔放な生き方・体験を露骨に記述する文学史上特異な作品。
●巻1
1・新春の御所、父と後深草院の密約
2・恋人(雪の曙)より文と贈物
3・父邸に退出
4・院父邸に作者を訪う、第一夜
5・雪の曙より文
6・第二夜、院の意に従う
7・御所での不安な日常
8・東二条院の御産の盛儀
9・・御所の人魂の怪異
10後嵯峨院発病、六波羅の変事 ほか
●巻2
1・元旦の感慨
2・粥杖の報復に作者院を打つ
3・院の訴え、一族贖(あが)いに定まる
4・隆親・隆顕らの贖い、隆遍鯉を切る
5・実兼の贖い、久我尼(こがのあま)の反論と院の贖い
6・有明の月から恋の告白をうける
7・亀山院来訪、遊宴ののち文
8・長講堂供養、御壺合せ
9・院の病中有明と契る
10・六条殿供花(くうげ)、伏見の松取り ほか
レビュー(8件)
10年以上前に他の作家版を読みましたが、こちらは原文も掲載されているのでより詳しく、鎌倉時代の赤裸々な女性の生き方が生き生きと描かれており秀逸です。
『源氏物語』より大変そう? 日記文学
気になりすぎて、下巻と一緒に購入しました。『とはずがたり』は少女マンガから入りましたが、原作のストーリーのままではなく、取捨選択したとのことで、マンガの記憶があるうちに原作を読もうと決意。『恋衣』でワンクッション置いてから、ネットで調べて、この本に決めました。現代語訳つき&解説つきで、全文を読むことができるからです。 恋愛ものといえばそうですが、それだけでは済まない……ハラハラドキドキな作品ですね。日記文学でありながら、事実を単に、そのままで書くのではなく、作者が意図的に「構成」した部分もあるそうで、そっちも気になります。もうすぐ、上巻を読み終えるところですが『源氏物語』より大変なことになりそうです。二条(作者)は才色兼備で、自信に満ちた美女だったんだろうな、と思いました。衣装も立派だし、きっと、モテる人だったんでしょう。雪の曙(実兼)は善良で、思いやりのある人だと思います。有明の月は……怖いです。女性的な性格と解説される院(後深草院)や、他の男の人たちも、この後の展開で、二条とどうなってしまうのか、気になりすぎます! マンガとどう違うのかも、意識しながら読んでます。私は初心者なので、今回は現代語訳と注、解説のみを読んでますが、古文の方も全文読めるので、ご安心ください。