小説「存在せぬ帰路」内容紹介“ ピーー ”という汽笛を長鳴させて、一面、白い雲の様に降り積もる雪の中、クリーム地に赤帯の車体が見えてくる。洋子達を乗せた、“特急しなの”である。その顔は、高運転台で“電気釜”の様な形をしている。“しなの”を迎えるホームの上には〔塩尻〕と書かれた駅名標が寒さに震えていた。(存在せぬ帰路、本文より抜粋) 時は昭和47年、主人公、川端直樹が幼い頃、彼の母、洋子に分岐(ポイント)が近づいていた。その時、洋子が迷った末に選ぶのは、本線か複線か……。そして、その行き先は、何処へ続いているのか? 直樹は、幾多の別れと、次々と降りかかる苦難の中で、温かな家庭に憧れるが、何一つ叶わぬ彼は、やがて放蕩に身を持ち崩していく……。 今の苦難は、因果応報なのか?帰る路を探る直樹は葛藤に苦しみ続ける。 ある日、彼は、古本屋で謎の老人と出会い、素粒子の不思議な動きを知るが……。 信州から、大阪、兵庫、鹿児島、そして、安曇野の大自然の中へと、乗り継いでいく、直樹の波乱万丈の人生を描いたヒューマンストーリー小説。
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