聾学校に勤める聴覚障害教員が,自身の体験も踏まえて日常生活上のさまざまなバリアを豊富なイラストとともに解説しながら,聴覚障害児の「9歳の壁」の実態を具体的に紹介,「口話法」と「手話法」を同時に視野に入れた聴覚障害教育の必要性を説く。現在の聴覚障害教育の重要課題に応える,「新しい聴覚障害教育」の提言。
◆脇中起余子氏の好評書籍
『聴覚障害教育 これまでとこれから:コミュニケーション論争・9歳の壁・障害認識を中心に』
http://hanmoto.com/bd/isbn/9784762826900
『「9歳の壁」を越えるために:生活言語から学習言語への移行を考える』
http://hanmoto.com/bd/isbn/9784762828034
『よく似た日本語とその手話表現 第1巻:日本語の指導と手話の活用に思いをめぐらせて』
http://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784762827754
『よく似た日本語とその手話表現 第2巻:日本語の指導と手話の活用に思いをめぐらせて』
http://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784762827808
『からだに関わる日本語とその手話表現 第1巻』
http://hanmoto.com/bd/isbn/9784762826238
『からだに関わる日本語とその手話表現 第2巻』
http://hanmoto.com/bd/isbn/9784762826245
『助詞の使い分けとその手話表現 第1巻:格助詞を中心に』
http://hanmoto.com/bd/isbn/9784762827754
『助詞の使い分けとその手話表現 第2巻:副助詞・接続助詞+接続詞を中心に』
http://hanmoto.com/bd/isbn/9784762827808
レビュー(1件)
ともしび
これほどまでに深く心を揺さぶられた本は久しぶりである。 本書は現役のろう学校教員の手による、日本の聴覚障害教育の現状分析と今後への提言だ。何故そんな本に心を揺さぶられたのか? わかる人にはわかるだろうが、実は日本の聴覚障害教育はこの10年間、日本手話によるバイリンガルろう教育の全肯定と、全ての公立ろう学校および日本聾話学校の教育実践への激しい攻撃の嵐が吹き荒れていたのだ。マスコミが雪崩を打ってバイリンガルろう教育陣営に加わる中、現場の教員たちは叩かれ放題に叩かれても反論の機会を与えられなかった。何しろ、バイリンガルろう教育に少しでも批判的な意見は本にしても売れないし、学術誌に論文を投稿すればムキになったバイリンガルろう教育擁護陣営の査読者に粗探しと揚げ足取りで潰されるのである。両手両足を縛られてタコ殴り。それがろう教育論壇の実情だった。 そんな中で、10年目にしてやっと「バイリンガルろう教育がそれほど優れているというなら実証データを示せ」の一言だけでも言わせてもらえた。それが本書である。それだけでも涙が止まらないが、それ以外の部分でも本書は、「教育学の博士号を京都大で取得したろう者教員」にしか書けない、精密な分析、手堅く緻密な論理構成、幅広い文献の渉猟、そして実際に多種多様な聴覚障害児たちと日々ふれあっている経験が詰め込まれている。名著という言葉では物足りない。嵐の夜に彼方で揺らめくともしびのごとき書である。独学で口話法を研究し私財をなげうって聾学校を開いた(現在の滋賀県立聾話学校)西川吉之助の墓を訪れた著者が手を合わせた下りでは、本当に涙が出た。 その勇気、その志は高橋潔先生の正統なる後継者と言うべきである。日本の聴覚障害教育の未来はここにある。