- 47
- 4.53
「みんな、井上と闘うなら今しかない。来年、再来年になったらもっと化け物になる」 2013年4月、井上尚弥のプロ3戦目の相手を務めた佐野友樹はそう叫んだ。 それからわずか1年半、世界王座を計27度防衛し続けてきたアルゼンチンの英雄オマール・ナルバエスは、プロアマ通じて150戦目で初めてダウンを喫し2ラウンドで敗れた。「井上と私の間に大きな差を感じたんだよ……」。 2016年、井上戦を決意した元世界王者・河野公平の妻は「井上君だけはやめて!」と夫に懇願した。 WBSS決勝でフルラウンドの死闘の末に敗れたドネアは「次は勝てる」と言って臨んだ3年後の再戦で、2ラウンドKOされて散った。 バンタム級とスーパーバンタム級で2階級4団体統一を果たし、東京ドームでルイス・ネリ戦を倒した「モンスター」の歩みを、拳を交えたボクサーたちが自らの人生を振り返りながら語る。第34回ミズノスポーツライター賞最優秀賞に輝いたスポーツノンフィクション。 【本書の内容】 プロローグ 第一章 「怪物」前夜(佐野友樹) 第二章 日本ライトフライ級王座戦(田口良一) 第三章 世界への挑戦(アドリアン・エルナンデス) 第四章 伝説の始まり(オマール・ナルバエス) 第五章 進化し続ける怪物(黒田雅之) 第六章 一年ぶりの復帰戦(ワルリト・パレナス) 第七章 プロ十戦目、十二ラウンドの攻防(ダビド・カルモナ) 第八章 日本人同士の新旧世界王者対決(河野公平) 第九章 ラスベガス初上陸(ジェイソン・モロニー) 第十章 WBSS優勝とPFP一位(ノニト・ドネア) 第十一章 怪物が生んだもの(ナルバエス・ジュニア) エピローグ 【著者略歴】 森合正範(もりあい・まさのり) 1972年、神奈川県横浜市生まれ。東京新聞運動部記者。大学時代に東京・後楽園ホールでアルバイトをし、ボクシングをはじめとした格闘技を間近で見る。卒業後、スポーツ新聞社を経て、2000年に中日新聞社入社。「東京中日スポーツ」でボクシングとロンドン五輪、「中日スポーツ」で中日ドラゴンズ、「東京新聞」でリオデジャネイロ五輪や東京五輪を担当。雑誌やインターネットサイトへの寄稿も多く、「週刊プレイボーイ」誌上では試合前に井上尚弥選手へのインタビューを行っている。著書に『力石徹のモデルになった男 天才空手家 山崎照朝』(東京新聞)。本書で第34回(2023年度)ミズノスポーツライター賞最優秀賞を受賞。
レビュー(47件)
思っていた内容と若干違う
若干ではあるけど、タイトルと内容が違う。 期待をしすぎていただけかもしれないが、 調べれば出てくるのではないかと思ってしまう内容や、それ書く必要あるかな?みたいな洒落ようとした表現が多い。 私の読解力が低いことが問題かもしれないが、 時系列がまとまっていないこと、これは誰が言ったんだ?となる(読み進めると分かる)文が少し多かった。 また、「怪物に出会った日」の内容が薄い。 怪物に出会う前、怪物に出会った後の方が長い。 YouTubeで作者のプレゼンのような動画や、ネットでこの本についての記事を読んでワクワクして買って読んだが、結局井上尚弥の強さ、異次元さを伝えられる本ではない気がする。 でも発想を変えて、敗者に取材したのに関わらず書ききれない、表現しきれないほどの強さを持っていることが伝わってきた。
面白い!敗者に光を当てるのは難しいですが、凄く真摯に向かっているのを感じます。
写真がもっと欲しい
内容は大満足。ただ、文中によく出てくる私的な写真を撮ったという記載(田口と井上が2回目のスパーリングの後でスマホで撮ったとか)、本の中に載せて欲しかった、見たかった!権利の問題とかあるのだろうけど、他の写真はたくさん出ている。
井上尚弥と対戦した選手たちの現在まで歩みと、 井上との試合後、どんな変化があり、何を想うのか事細かに取材されていて、とても良い本です。
敗者にスポットを当てたのが新鮮で興味深い
井上尚弥という世界最高のボクサーとの対戦で、敗者のその後を取材という今までにない試みで、とても興味深かったです。