本書は、ドイツにおける産業と銀行の間の関係に基づく産業集中の体制について、大銀行による企業間の人的結合の構造と機能の考察を通して歴史的に明らかにしたものである。本書の研究は、次の点に特徴を持つ。
第1に、3大銀行の役員兼任による企業間の人的結合、それを補完する役割を果たす顧問会制度による人的な結合・つながりの個別具体的な考察によって産業企業と銀行の間にみられる企業間関係の構造を明らかにしている点。
第2に、このような大銀行をめぐる企業間の人的結合の全体構造について、歴史的に見て重要な位置を占めるいくつかの時期を取り上げて比較分析を行っている点。
第3に、企業間の人的結合の構造が人的結合の機能の発揮の前提にあるという認識のもとに、企業間の調整という問題を人的結合の機能のみで見るのではなく、全体低湿的構造からも分析・把握している点。
第4に、企業間の人的結合の構造の考察にあたり、社会的ネットワーク分析の手法によって数量的な把握を試みる中で3大銀行間の比較を行い、そこにみられる相違、特徴を明らかにしている点。
第5に、企業間関係の機能の解明に不可欠となる、ドイツの大銀行や主要産業の代表的企業の文書館、連邦文書館やその他の文書館に所蔵されている多くの一次史料を駆使して分析を行っている点。
以上のような問題意識と分析視点のもとに考察を展開する。
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