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太平の世となった江戸時代。商品経済と出版メディアの発達が急速に進み、妖怪たちは「キャラクター化」された。人間を怖がらせてきたはずの彼らが突然、娯楽の道具となったのである。人気の妖怪たちを描いた「妖怪図鑑」、自在に妖怪を出現させることができる「妖怪手品」のマニュアル本、おもちゃ絵・人形などの「妖怪玩具」--。恐怖から娯楽へ、妖怪への意識の変化を、日本人の世界観の転換と共に論じた、画期的妖怪論。 序章 妖怪のアルケオロジーの試み(かわいい妖怪たち;妖怪研究の二つのレベル ほか) 第1章 安永五年、表象化する妖怪(『画図百鬼夜行』の登場;平賀源内と『天狗髑髏鑒定縁起』 ほか) 第2章 妖怪の作り方ー妖怪手品と「種明かしの時代」(永代橋の亡霊;妖怪手品本『放下筌』 ほか) 第3章 妖怪図鑑ー博物学と「意味」の遊戯(「百鬼夜行」のイメージ;『山海経』と『化物づくし絵巻』 ほか) 第4章 妖怪娯楽の近代ー「私」に棲みつく妖怪たち(井上円了の妖怪学;「理学の幽霊」と近代の妖怪 ほか)
レビュー(7件)
妖怪学研究書
妖怪の成り立ちから歴史、変遷について研究して書かれた本です。 大学の共通テストの問題で、取り上げられたことで、有名な本です。 民俗学、怪談、手品、心理学、催眠術など幅広い観点から学際的に考察されています。 大真面目で、固い本なので、読むのには、骨が折れるかもしれません。 妖怪の図版なども多く取り上げられいて、興味深いです。 決して、妖怪百科のような本ではありません。