ひとり親家庭の支援策は2002年に厚生労働省から「母子家庭等自立支援対策大綱」が出されて以降は様々な施策が施行されてきた。また社会的関心も高まりを見せ、子どもの貧困改善からのアプローチなどひとり親家庭の支援が広がっている。
ただ、その一方で制度施策からこぼれてしまう人が少なくないのも現実であり、困難な状況に置かれている人ほど社会的、経済的な影響を受けやすい傾向がある。
本書は今を生きるひとり親家庭にどんな支援が必要かについて考察したものである。当事者団体である社会福祉法人 滋賀県母子福祉のぞみ会がコロナ禍の下で3年半にわたり実践してきたことを検証し、大学教授と社会福祉法人による共同編集の形を取りながら、ひとり親家庭の支援に求められているものは何か?今後ひとり親家庭に対し有効な支援とは何か?を浮き彫りにしていく。
本書では「ひとり親家庭」と「母子家庭」の2つの表記を使い分けている。国の施策に基づき、「ひとり親家庭」と表記された施策に関連するものの場合は「ひとり親家庭」、ひとり親家庭の特に母と子に言及するものの場合は「母子家庭」と表記する。
ひとり親家庭において、母子の問題は、母親の就労上の困難や子育ての負担においてジェンダーの問題と切り離せない。女性が自立して社会で生きていくこと、とりわけシングルで子育てをしつつ仕事をしていくことのしんどさは男女共同参画社会と言われた現代社会において改善されているとは言い難い。法整備が進んでも、実際に子育てを中心に担っているのは依然として女性である。さらに子育てが上手くいかないことは、個人の問題、家庭の問題となりがちである。家庭内の困難は他者に相談しにくい。自分の抱える問題に共感し、応えてくれる人がいない場合、地域社会から孤立し、問題は深まっていく。そんな母子家庭に社会全体が寄り添うためには…今、できることを考えていく試みについて考察していく。
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