「新しい社会的養育ビジョン」を背景に里親委託が推進されている現在,里親と委託児童についてはさまざまな検討が進んでいる。しかし,それ以外の里親家庭の構成員,特に里子受け入れで複雑な感情をもつであろう「実子」に関する研究は,ほとんどみられない現状である。本書は,これまで光が当たっていなかった実子に着目し,彼らがどのように里親家庭で成長するのか,折々にどのような意識を持つのかを,インタビュー調査から明らかにする。現在の里親家庭支援において「実子への視点」が欠けていることに警鐘を鳴らす,関係者必読。
序章 里親家庭の実子を研究する目的
第1節 研究の背景
第2節 研究の目的と意義
第3節 用語の定義
第4節 当事者が行う研究
第1章 里親の実子とは何かーー国内外研究の検討ーー
第1節 先行研究の範囲とその動向
第2節 国内外の里親家庭の実子に関する研究
第3節 喪失とその対応に関する研究
第4節 近接領域における研究との比較ーーヤングケアラー,障害児・病児のきょうだいとの関連ーー
第2章 里親家庭における里親の実子の意識
第1節 インタビュー調査の目的
第2節 調査方法ーー調査手順と分析方法ーー
第3節 結果ーー意識の変容過程の結果ーー
第4節 本章のまとめーー2つの立場を持つ実子ーー
第3章 里親養育の開始の際の実子の年齢による意識変容のプロセス
第1節 インタビュー調査の目的
第2節 調査方法ーー複線径路・等至点アプローチ(TEA)とその内容ーー
第3節 里親養育の開始の際の実子の年齢によるプロセス
第4節 里親養育が実子に与える影響
第5節 本章のまとめーー獲得と喪失の3つのプロセスーー
第4章 里親の実子が持つ主観的なきょうだいの境界とその変化
第1節 主観的なきょうだいの境界に関する調査の目的
第2節 調査方法ーー調査手順と分析方法ーー
第3節 主観的なきょうだいの範囲の結果
第4節 本章のまとめーー4つの主観的なきょうだいの境界ーー
終章 里親家庭の実子を生きるとは
第1節 里親家庭で成長する実子
第2節 ヤングケアラーとしての実子
第3節 主観的な実子のきょうだいの範囲の獲得と喪失
第4節 実子と社会制度との繋がり
第5節 本研究の限界と今後の課題
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