「ことほどさように、音楽というのは不思議なものだと思った。彼女の演奏の何処にそれほど魅かれたのだろう。彼女の歌への情念が波動となってこちらへ届いたということなのだろうか」 〜「パリの片隅のアコーディオン弾き」から〜晩秋の夕陽に染まる大地。先ほどまで落ち穂拾いをしていた人がいる。そして、心からこぼれ落ちそうなあれこれを拾い集めようとする人もいる。長い移ろいの間には本当にいろいろなことがあるものだ。パリの片隅で歌っていたあの少女は今も何処かで歌い続けているだろうか。旅、音楽、映画、スポーツなどに纏わる、あの日々、あの人たち、そしてあの事ども。いくつもの邂逅に込められた、丁寧に綴られるどこにでもある物語たち。〜筆者より〜あの場所がここにも、あの人がここにも、あのことがここにも。一つ一つの木が集まって森林を形づくるような、そんな風情の一冊です。もし再読していただけるなら、そんなことが再発見できるかもしれません。一人の人間の経験には限りがあり、人生を振り返るとき、あの思い出、この思い出には幾多の重なりがあることでしょう。そんなことも感じながら一篇一篇、ゆっくり味わっていただけたなら筆者としてこんなにうれしいことはありません。この本の大きなテーマは「時の流れ」であり、これは誰の心にもある、そして誰もが体験するようなそんな物語の集まりです。もし手にとっていただけるなら幸せです。ありがとうございます。心から・・・。
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