東京電力福島第一原発事故から10年の知見 復興する福島の科学と倫理
2011年3月11日の東日本大震災により起こった東京電力福島第一原子力発電所事故は、福島の人々の生活や心身に深刻な爪痕を残した。
本書は、「原発事故後の放射線被ばくの影響」「原発事故後の心の健康問題」「甲状腺検査と廃炉汚染水対策」の3章構成で、原発事故が与えた市民への影響や、市民の抱えてきた不安を明らかにする。
著者が行ってきた10名の専門家への対談・インタビュー取材を掲載。そのほか、原発事故後の状況や、その影響に関する科学的な基礎知識についても解説する。
はじめに
1 原発事故後の放射線被ばくの影響
科学を福島の住民の生活につなぐ
対談 丹羽太貫氏×早野龍五氏
基礎知識1 放射線被ばくはどの程度だったか
暮らしのための科学の言葉を探す
インタビュー 坪倉正治氏
基礎知識2 放射線被ばくの健康影響はあるか
飯舘の「までい」な生活を楽しむ
UNSCEAR福島報告を読み解く
インタビュー 明石眞言氏
2 原発事故の心の健康問題
心の中に安全な場所をつくる
インタビュー 前田正治氏
基礎知識3 原発事故後による心の健康影響
3 甲状腺検査と廃炉汚染水対策
福島の甲状腺検査を概観する
甲状腺検査の倫理的問題
インタビュー 高野徹氏
疫学から考える甲状腺検査
インタビュー 祖父江友孝氏
基礎知識4 甲状腺検査について考えるために
現場に立ち続けた医師からの伝言
インタビュー 緑川早苗氏
処理水の処分法を巡る議論
対談 木野正登氏×多田順一郎氏
基礎知識5 処理水処分について考えるために
おわりに
レビュー(2件)
福島第一原発事故で健康影響がない理理
福島第一原発事故から10年以上経ちました。 前代未聞の原発事故でしたが、 放射線によって健康影響は確認されていません。 また、今後も健康影響が出ることはない、とされています。 国連科学委員会という国際的な組織がそうした事実を認めています。 福島県民にとってはこれに勝る安心材料はありません。 この本は、こうした事実を丁寧に解説しています。 特に、注目すべきは、子どもを対象とする甲状腺検査に関してです。 子どもの甲状腺がんが多数発見されていますが、 放射線被ばくによる影響ではなく、 あまりにも大規模検査を行ったために見つかったものなのです。 ところが、この事実を理解することは簡単ではありません。 この本では、数人の専門家とのインタビューを通して、 極めて難しい事実を理解できる形にしてくれています。 福島県民にとって安心材料であることは間違いないのですが、 福島県外に住む人たちにもこうした事実を知ってもらいたいです。