統合失調症や境界例が軽症化する一方、3割近くの若者が経験しているという人格の多元化や、アスペルガー症候群などが時代の前景に押し出されている。本書はこういった潮流を「中心のない多元化」という概念で括り、一般的な学生や臨床例に見られる諸現象を挙げながら、精神に引き起こされている今日的変容を浮き彫りにしていく。
はしがき
序章 心が迷路に入っている
1 アイデンティティの終焉
2 八〇年代まで
3 中心のない多元化
4 「みえない中心」に向かって
第1章 まなざしの地獄
1 六〇〜七〇年代の青年像
2 一人ではいられない
3 「みられる〈私〉」への強迫
〈この章のまとめ〉
第2章 物語をシャッフルする
1 「小さな物語」のなかで
2 プロテウス的移行
3 「一つの〈私〉」の由来
4 ゼロ点兆候
〈この章のまとめ〉
第3章 分身遊離する〈私〉
1 中心をめぐる攻防
2 健忘のない多元化
3 多元化のひろがり──一般学生への調査から
4 ICは境界を越えてゆく
5 他有化スペクトラム──〈私〉のなかの他者
6 解離とは何であったか
〈この章のまとめ〉
第4章 モード転回がとまらない
1 豹変リスク
2 クライテリアが定まらない
〈この章のまとめ〉
第5章 失われた中心──引きこもりの源流
1 基礎的状況──対他的同一性/対自的同一性のデカップリング
2 プロトタイプとしての物語放棄
3 さまざまな亜型
〈この章のまとめ〉
第6章 「狂気」という幻想
1 「現実」の二つの契機──離人症の背後にあるもの
2 モダンの奇形性
3 「外部」への転落──統合失調症の精神病理
4 「くらやみ」への跳躍─脱自的融合
〈この章のまとめ〉
第7章 アスペルガー的反転
1 ヒエラルキー喪失──流れゆく現実
2 時間軸の弛緩──「過去」がリアルに浮かんでくる
3 脱自的融合──アニミズム的一体化
〈この章のまとめ〉
終章 反転/超越する
あとがき
索引
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