東京都の西の外れ、高尾山は都心から1時間で自然の息吹を満喫できる観光名所。古くからの霊場でもあり、天狗一族を筆頭に異界の住人たちが蝟集している。そういう土地柄を背景にぼくと子天狗や生霊、メギツネ、仙人との交際が織りなされていく。
四部構成で第1部は語り手「ぼく」と小天狗玄太との付き合いが中心。ぼくの家の近所のひなびた神社で姫神が長の眠りから目覚めた。悪徳行者がそれに気付いて、姫神を呪縛して思い通りに使役しようとする。玄太は姫神を守ろうと行者と戦うが打ちのめされ、からくも姫神が宿るご神体を奪い、神社から逃れて行方不明になる。
第2部は、ぼくと美人生霊アイスとの異界訪問。町からの帰宅途中、バスを降りたぼくに生霊が話しかけてくる。彼女は三十歳前後、難病のため病院のベッドで横たわるだけの日々を送っているうちに、幽体離脱することを覚えた。ある日のこと生霊アイスはメギツネ茜に会い、異界を訪ねてご神体水晶に触れれば難病が治癒するという話を聞く。
第3部は若かったころのトカゲの仙人について、仙人の秘書のメギツネ茜が語る。トカゲの仙人は武家の出で出家して雲水になり、良源を名乗った。メギツネ弓月を助けたことが災いして3人の浪人を惨殺。修験の行者になって熊野にこもった。
裸形上人に守護されて悟り体験をしたのち、熊野の近くの村に降りるが、疫病鎮めに観音菩薩のもとへ使者を送る補陀落渡海船に乗せられることになる。海中捨身の旅だが、船の沈没間際に良源を弓月が助ける。
第4部は弓月・茜・初雪のメギツネ3姉妹が、オオカミ使いの修験者ヒロの協力のもと、山姥(やまんば)一味と戦う話。茜の妹初雪が何者かに誘拐される。ヒロはオオカミの霊示にしたがって高尾山にわけいり、初雪を探す。戦時中に掘削された洞窟の入り口で茜と鉢合わせする。洞窟で待っていたのは山姥と数百名の餓鬼の手下だった。
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