南北朝時代、南朝方の北畠親房によって著された史書『神皇正統記』。井上毅は明治憲法の起草にあたり『正統記』に依拠している。彼の主張する「正統」概念は、支配秩序や教義的世界観に由来するものではなく日本の本来性と天皇統治を結びつけた歴史的概念であった。近世から近代に至るまで最重要の古典と看做された『正統記』に加えられた多様な解釈の諸相を跡付け「正統」の権力が強化されていく過程を分析した意欲的研究。
序論
第一章 「神国」の「正統」--『神皇正統記』の思想構造
第二章 「南朝」のあとで -- 近世前期までの『神皇正統記』受容史
第三章 「虚器」と「共主」-- 山鹿素行と新井白石の『神皇正統記』受容
第四章 「神器」と「正統」-- 闇斎学派の南朝正統論
第五章 本来性をめぐる闘争 -- 前期水戸学における神器論争
第六章 「神書」と「古典」のあいだ -- 垂加派における『古事記』研究
第七章 「神道」から「古道」へ -- 『弁道書』以降における「神道」の再解釈
第八章 「国体」の興隆 -- 後期水戸学における『神皇正統記』の受容
第九章 「神国」の近代 -- 明治国学と『神皇正統記』
結論
索引
レビュー(0件)