都市に暮らす人々の生活は,酸素や食料の供給を農地や周辺の森に依存したアンバランスな生態系の上に成っている。都市と森の永続的な共生関係を築くためには,都市にとっての森や自然がなぜ,どのように大切なのかを今一度問い直さなければならない。都市近郊に作られた「森の植物園」をフィールドとして,動物・植物・大気の三つの視点から,都市と森の理想的な関係を提言する。
*推 薦*
大阪市内から電車で30分の所に、日本の樹林型11種類が鬱蒼と茂る世界にも例を見ない森がある。大阪市立大学理学部附属植物園である。市民に開かれた植物園はどうあるべきか。それに答えるために「都市と森の共生をめざす研究会」が明らかにした成果が本書である。生物多様性やCO2吸収機能は、各樹林型によって異なることがわかった。
60年の歴史をもつ11樹林型は個性に基づいた生態系を構成し、四季の変化に応じた森の姿を演出する。森を知り、森に憩い、生の充実を求める市民にとって、これほど格好の場所はない。大学植物園という聖域の扉を開き、市民参加による新しい大学植物園のあり方を示す画期的な提唱は新鮮だ。
<div align=”right”><b>河合雅雄</b>(兵庫県立人と自然の博物館名誉館長)</div>
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