アカデミー賞受賞監督アン・リーの「華語」作品を対象に、視線を交錯させる装置としての映画を俎上に載せ、著者のユニークな観察眼を通して男女、父子、東洋/西洋、同性愛/異性愛の境界の擾乱をとらえた意欲作。
名古屋大学 星野幸代
『ウェディング・バンケット』『恋人たちの食卓』『グリーン・ディスティニー』『ラスト、コーション』……。綺羅星の如き作品たちのなかに通底する「視線」のテーマを分析し、それを結び合わせることで華人監督・李安という星座を描き出す。
序 章 李安(アン・リー)の華語映画
第一節 先行研究の検討
第二節 華語映画とは何か
第三節 理論的枠組み
第四節 本書の全体構成
第一章 交渉するクィアな家族像──『ウェディング・バンケット』
はじめに
第一節 『ウェディング・バンケット』の誕生背景
第二節 ニューヨークの都市空間から見たクィア・ファミリー
第三節 食事シーンから見る変貌した家族表象
おわりに
第二章 焦点化される父親の欲望──『恋人たちの食卓』
はじめに
第一節 オープニングに関する考察
第二節 「飲食」
第三節 「男女」
おわりに
第三章 古典中国を移動する女侠──『グリーン・ディスティニー』
はじめに
第一節 中華圏の武侠映画の系譜
第二節 無法の西部空間──荒野における主体性の芽生え
第三節 官の東部空間──北京城における「江湖夢」の形成
第四節 侠客の江南風景──創造の江湖を擾乱する
おわりに
第四章 戦時上海におけるスパイ物語──『ラスト、コーション』
はじめに
第一節 老上海(Old Shanghai)の都市空間
第二節 マージャンシーンから見た視線のポリティクス
第三節 ベッドシーンから見た身体の権力関係
おわりに
終 章 華語映画 視線のポリティクス
あとがき
附 録
参考文献
事項索引
人名索引
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