羅恵錫(1896~1948)は女性として朝鮮初の日本留学生の1人。
西洋画家であり、文筆家でもあった。女子美術学校を卒え、一時教職に就いた後、朝鮮女性の封建的圧殺状態について健筆を振い、女性の解放と自由を求めて実践する。
1919年の3.1独立運動にも積極的に参加し獄苦を嘗める。金英雨(外交官)と結婚し、世界一周を試み、パリでの崔麟(1878~1958)との自由恋愛によって結婚生活は破綻をきたす。その時35歳であった。晩年は仏教に帰依し、寂しい人生を終えた。
(訳者あとがきより)
忘れ去られた羅恵錫は、韓国において民主化が進展すると、女性画家兼文筆家としてのみならず、民族活動家、ジェンダーの嚆矢と再評価される。特に地元・水原市が主導して研究が進み、2000年と2001年には、相次いで「全集」が編まれ、注目を集めている。
本欧米旅行記は、羅恵錫という自立しようとした開明的な新進近代朝鮮女性画家兼文筆家から見た大戦間期欧米の貴重な記録であり、韓国で再評価が進む女性のあらゆるエッセンスが詰まった、興味深い読み物だと言える。
◆旅立ちを控えて
◆ソビエト・ロシアを行く
釜山を発つ/ 満州で/ 国際都市・ハルピン/ 大興安嶺山脈を越えて/ シベリアを通過する/ オーロラ/ モスクワ・ソビエト社会主義連邦共和国/ クレムリン宮殿/ ポーランド
◆パリからスイスへ
ジュネーブへ/ 李王殿下/ インターラーケンとユングフラウ/ ベルン
◆西洋芸術と裸体美ーベルギーとオランダ
ベルギー/ 運河の国・オランダ/ ハーグで感慨に浸る
◆ああ、自由のパリこそ恋し
華麗なパリ、陰鬱なパリ/ 歓楽の都市/ ミュゼの都市/ パリの画家の一日/ 寺院なのか美術館なのか/ パリのあれこれ/ やさしく奥深いフランス女性
◆ベルリンの夜明け
科学の匂いを嗅ぐ/ ポツダム宮殿/ ベルリンの夜明け
◆イタリア美術を求めて
ミラノで出会った「最後の晩餐」/ スカラ座で尹心悳を思う/ ブレラ美術館/ 水の都・ヴェネツィア/ ドゥカレ宮殿とサン・マルコ広場/ ヴェネツィア派とフィレンツェ派/ 花の都・フィレンツェ/ サンタ・クローチェ聖堂とウフィツィ美術館
◆ドーバー海峡を渡る
庭付きでない家がないロンドン/ 遅れをとったイギリス美術/ ウェストミンスター寺院とウィンザー城/ イギリス女性の参政権運動
◆情熱の国、スペインへ
闘牛/ マドリードで出会った東洋の色彩/ プラド美術館印象記/ トレドを訪ねて
◆大西洋を渡ってアメリカへ
帰国準備をする/ マジェスティック号での生活/ 天を垂直に仰ぐ都市・ニューヨーク/ 徐載弼博士に会う/ ニューヨーク出発/ ナイアガラの滝/ シカゴ/ 天国に通じる道・グランドキャニオン/ ロサンゼルス/ ヨセミテ公園/ 東西文明の接点・サンフランシスコ
◆太平洋の波濤がへさきを打つ
太平洋に浮かぶ/ ハワイ・ホノルル/ ハワイ出航/ 横浜到着/ 故郷へ帰る
◆文章と絵で復元した『朝鮮女性、初の世界一周記』
◆訳者あとがき -羅恵錫についてー
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