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この本は、日本がなんだか辛いな、苦しいなと思っている方のための本です。 野本さんはマレーシアに家族で移住して10年。いまは海外教育や海外移住について書いたコラムやラジオ、講演会で大人気です。 一見不便で給与水準も低いのに、楽しそうな人が多いマレーシアという東南アジアの国。この国で学んだ人生を楽しく暮らす方法を紹介します。 野本さんは子どもを産む前、「こうすべき」が多い人間ででした。 ー子どもが引きこもりになったらどうしよう ー不登校になったらどうしよう ーいじめられたらどうしよう と不安でいっぱいでした。「子育ては親の自己責任で」とか「子どもをちゃんと育てられないのなら産むな」と言う人もいて、「そんなの産んでみないとわからないよ。きっついな」と思っていたそうです。そんな中で「嫌なら転校すればいいだけ」というマレーシア人や「子育てはテキトーでいい」とする日本人たちの存在は光明に見えたそうです。マレーシアに住んでみて気づいたのは、世界は自分が思ってるよりさらに広くて多様だということ。日本はかなりユニークで変わった文化だということでした。マレーシアに来て数えきれないほど様ざまな失敗をし、 ーほとんどのことには正解がない ー他人に期待しないと怒らなくて済む ー他人はコントロールできない ー精神のコントロールは自分でする ー白黒つけるのをやめる ー80%くらいの完成度で世の中に出す ースピードの方が大事 ー他人を助けると自分に返ってくる といったことを現地の人々から教えてもらい、ずいぶん生きやすくなったそうです。 日本人は圧倒的に「ちゃんとしなくては」で苦しんでる人が多すぎる。しかし世界を見ると、そこまで厳しく緻密さや正確さは求められていないのです。海外進出する企業や学校教育の現場において、感情をコントロールすることの大切さをユニークな視点で書いたエッセイ。 https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163916583 週刊文春「文春図書館 著者は語る」2023年2月23日号https://bunshun.jp/articles/-/60797 本の話ポッドキャスト https://anchor.fm/hon-web/episodes/ep-e1ubkgu/a-a97hnio 文春オンライン記事 前編https://bunshun.jp/articles/-/60090 後編 https://bunshun.jp/articles/-/60091
レビュー(14件)
とても面白かったです。確かに日本の良さもありますが、マレーシアの多民族国家ならではのゆとりはうらやましいです。ルールや人の目にがんじがらめになっている今の日本。もう少し「ま、いっか」と思える雰囲気でやっていけたら、もっと生きやすくなるだろうなぁ。一人でも多くの人がその心持でいけたら、これから変わっていける気がします。
本を読むあまり読まない人にもおすすめ
文体や文字の間の大きさなど、とても読みやすく、本をあまり読まない人でもサラッと読めそう。 「途上国を助けようと思ったけど、課題が多いのは日本の方だった」という大学生の言葉が印象的。 #東南アジア式まぁいっかで楽に生きる本 #野本響子 江戸時代、日本に訪れた外国の方が時間の適当さを嘆いたという。 自分の中で「時間は守って当たり前」という気持ちが自分向けにも他者向けにも強くなった時、必ず思い出すようにしているのが、江戸時代の話。 そして今回の本を読んでいると、もっと最近の“著者のこども時代”の話が出てくる。 私の子ども時代も、田舎であったこともあるのか、今と様子が違う。頷きながら、昭和な日本を思い出す。 そして、昭和を思い出すような寛容な世界とは真逆に、進んでいる教育社会。 成長期に諸外国の良いところ、悪いところを見て、シフトしていったマレーシア。「合理的」と言う言葉に納得。 長年の成功体験が、変化を阻んでいたとしても、間違いなく日本も変わるのだろうと思う一冊でした。