一九七八年、久保田悦子はアルバイト先のスナックで、杉千佳代と出会った。舞台女優を目指す千佳代は所属する劇団で、『アナベル・リイ』のアナベル役を代理で演じるが、その演技はあまりに酷く、惨憺たるものだった。やがて、友人となった悦子に、千佳代は強く心を寄せてくる。フリーライターである飯沼と入籍し、役者の夢を諦めた千佳代は、とても幸せそうだった。だが、ある日店で顔面蒼白となり倒れ、ひと月も経たぬうちに他界してしまった。やがて、悦子が飯沼への恋心を解き放つと、千佳代の亡霊が現れるようになる。恋が進展し、幸せな日々が戻って来る予感が増すにつれて、千佳代の亡霊は色濃く、恐ろしく、悦子らの前に立ち現れるようになりーー。
目次
アナベル・リイ
解説 東えりか
レビュー(2件)
小池氏の小説に登場する女性は、かなりエキセントリックな人物の場合でも「こういう人も実際、いるかもしれない」と思わせる説得力というかリアリティがあります。女性が社会の中で置かれている立場や状況が人物設定に反映されているからなのでしょうね。ですからこの物語に登場する女性の幽霊についても・・・普段は霊の存在などまず信じない読者であっても「現世でのささやかな望みや願いすら叶えられずに亡くなったら、こんなふうに姿を現しても不思議ではない」と思うかもしれません。面白かったです。