9世紀末から10世紀にかけて、律令時代とは異なる情報環境下におかれるに至った平安王朝の天皇・貴族らは、政務や儀式を執り行う上で必要な情報を収集・蓄積するために、日記を記し始めた。かかる「公事情報」の装置として、やがて「家」の日記、「日記の家」が生み出され、「家記のネットワーク」も形成される。藤原定家『明月記』にみる公事への関心と認識、説話作家たちによる日記の利用、日記や文書の移動と戦火からの避難に用いられた「文車」の考察なども含め、「情報史」の視点から、王朝日記の発生・変質・衰退の過程、その機能と意義を追究する。
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