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極貧の少年に与えられた途方もない予言 そこに「希望」が生まれた 魂をうつベストセラー大作待望の文庫化! 汝は必ずや、あまねく天下の財宝を手中に収むるであろうーー中国清朝末期、貧しき糞拾いの少年・春児(チュンル)は、占い師の予言を信じ、科挙の試験を受ける幼なじみの兄貴分・文秀(ウェンシウ)に従って都へ上った。都で袂を分かち、それぞれの志を胸に歩み始めた2人を待ち受ける宿命の覇道。万人の魂をうつベストセラー大作! もう引き返すことはできない。春児は荷台に仰向いたまま唇を噛んだ。満月に照らし上げられた夜空は明るく、星は少なかった。「昴はどこにあるのーー」誰に訊ねるともなく、春児は口ずさんだ。声はシャボンのような形になって浮き上がり、夜空に吸いこまれて行った。途方に昏(く)れ、荒野にただひとり寝転んでいるような気分だった。「あまた星々を統べる、昴の星か……さて、どこにあるものやら」老人は放心した春児を宥(なだ)めるように、静かに胡弓を弾き、細い、消え入りそうな声で唄った。--<本文より> 第一章 科挙登第 第二章 乾隆の玉
レビュー(449件)
安定の浅田次郎です。興味深く面白いです。
シリーズ本とは知らずに「中原の虹」から読み始めました。ガッツリと心を鷲掴みにされ、この「蒼穹の昴」が第一弾と知り今回まとめ買いしました。近代中国(清)と日本、また欧米列強と中国(清)や日本。歴史の大変動の中で、国家とは、国民とは、自分の居場所とは何かを考えさせられる超大作です。浅田作の非常に読みやすい文章も好きです。
原作を見てみたい
ブックカバーが宝塚版がかけてあるのには驚きました。実際、宝塚歌劇雪組公演を見て、原作を読んでみようと購入しました。これから読むため感想は書けませんが、壮大な歴史小説で楽しみです。
涙です
生まれ、育ち、そこから這い上がる苦しさ。 涙です。
再び春児に会いに
「蒼穹の昴」シリーズの大ファンです。文庫版『蒼穹の昴』初版から読みはじめ、『マンチュリアン・レポート』まで3回読みました。久しぶりにまた読み始めようと書棚を見たら、『珍妃の井戸』と『マンチュリアン・レポート』しかありません。以前本の整理をしたときに誤って捨ててしまったのかもしれません。今回、『蒼穹の昴』4巻、『中原の虹』4巻をまとめて購入しました。第5部の『天子蒙塵』は文庫版が出版されるまで待つことにしています。楽しみです。