私たちはまだ知らないことが多すぎる。定説に加えると更に歴史が深く面白く読めるだろう。「小三郎伝」「忠優伝」「忠固伝」「忠厚伝」本書の4作が生まれ続けたのは、2020年コロナ禍を迎えてしまった表現者たちの活動自粛中の静かな抵抗でもあった。当初、みなとかおるがラジオドラマとして書き始めた脚本は作品の音声収録毎に演者たちの声に触発されながら止むことなく生み出された。本書はその硬派で優しい意欲的作品をまとめたものである。あの頃、外国勢が日本という小国を何故重要視していたのか。時の政権中枢人物、徳川斉昭、井伊直弼と真っ向論戦し開国へ導いた上田藩主松平忠固。歴史教科書にはない人物たちに焦点を当て幕末期の政治体制、明治期のアメリカ留学の姿を追うなど史実に沿い会話劇という形で探る。★「小三郎伝」一八六七年(慶応三年)に赤松小三郎は京都で三十七歳で暗殺された。 黒幕の謎に迫る。★「忠優伝」上田藩主忠優は養蚕業を盛んにし、大坂城代の赴任時代に経済を向上させた。その経験から開国と交易で国を豊かにする政策を進める。尊王攘夷を主張する徳川斉昭と常日頃対立している忠優は、日本の防衛力を冷静に判断し「日米和親条約」と「下田三箇条」を結ぶ。★「忠固伝」 最新の歴史的事実も交え、ペリー提督の来日後、「日米修好通商条約」を結ぶために来日し、危篤に陥ったハリス総領事を上田藩主松平忠固が救うところから物語は始まる。日本開国当時の真実を追う。★「忠厚伝」燃えよ!知性の剣も -和算とLOVEとアメリカとー松平忠優(改名して忠固)の2人の子息の物語。明治初期になり、アメリカ留学を果たすが、当時の差別問題にも触れながら、兄は家督継承のため帰国、弟は日本人の国際結婚第一号となるなど実に興味深い事実がストーリーに見え隠れしている。
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