古くから人間は、異常心理についてさまざまな関心を寄せてきたが、その構造や発生のメカニズムを研究する心理学が異常心理学である。異常心理学の役割を大きく分けてみると、正常者の心理にはたらく法則を考えていくうえでの資料を提供することと、臨床心理学におけるいろいろな治療方法の基になる理論を与えるということの、二つの面が考えられる。本書では後者に重点を置き、異常心理というものを人間の行動のなかでどのようにとらえるか、またその基底にある神経生理学的メカニズムについて、現在どこまで分かっているかを明らかにし、これからの人間心理の研究に欠かすことのできない、一つの足場を与えている。
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