幕末から明治にかけて活躍した狩野派の奇才の、驚異的な画技と豊かなイマジネーションが織りなす独創世界。比較的知られる戯画、幽霊・妖怪画はもとより、美人画、風景画、武者絵、動物画……なんでもこなし、近年とくに肉筆画が注目されている。本書は、流派に収まりきらない「暁斎流」の巧さと面白さを伝えるために、評伝四章のほかにジャンル別三章を設けるというシリーズ異例の構成で、見応え読み応え十分。
明治維新による文化的迷妄と混乱の中、変わらぬ江戸の心を持ち続けた画家の矜持に共感する著者の洞察が、「暁斎」の見方に類書にはない深みを与えている。
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