ホットプルームの活性化による海底隆起で、多くの陸地が水没した25世紀。未曾有の危機と混乱を乗り越えた人類は、再び繁栄を謳歌していた。陸上民は残された土地と海上都市で高度な情報社会を維持し、海上民は海洋域で「魚舟」と呼ばれる生物船を駆り生活する。陸の国家連合と海上社会との確執が次第に深まる中、日本政府の外交官・青澄誠司は、アジア海域での政府と海上民との対立を解消すべく、海上民の女性長・ツキソメと会談する。両者はお互いの立場を理解し合うが、政府官僚同士の諍いや各国家連合の思惑が、障壁となってふたりの前に立ち塞がる。同じ頃、「国際環境研究連合」はこの星が再度人類に与える過酷な試練の予兆を掴み、極秘計画を発案したー。最新の地球惑星科学をベースに、地球と人類の運命を真正面から描く、黙示録的海洋SF巨篇。
レビュー(119件)
読破に三月半
短編で興味を持ち、手にしたものの、集中しないと読みこなせない作品で、半袖の頃に読み始めたのに、季節は、初冠雪が聞こえてきた。 内容は、正直、重い。 退職して時間が取れるようになったら、読み返そうか。 その頃には、また違ったイメージでこの作品をとらえてみたい。
ヒトの力強さ
地球規模の壮大なテーマですが、あくまでも本質は「ヒト」であると感じました。 激変する環境の中で生きるヒトの力強さが、緻密に描かれています。 外交官の青澄を主軸に物語が始まりますが、次第にこの世界で生きる人々の群像劇的な広がりを持ち、それぞれが自分の力の限り生きようと、救おうとする姿に心打たれます。 特にラストシーンは、静かだけれども非常に力強い、SF大賞にふさわしい最後です。