前世紀のこと、ウチラ高校物理部では宇宙線の研究が行われていた。まもなく入学してくる梶田君は、よりにもよって弓道部へ入部してしまう。2015年秋、ノーベル賞の発表でウチラ同窓の梶田教授ノーベル物理学賞授賞される!のニュースが流れた。そこで、ウチラは唖然とした。それは梶田先生のことは勿論だが、アナウンサーがこぞって大嘘を垂れ流している事に、だった。ニュートリノに重さがなかった、と盛んに言ってるが、ウチラ物理部のみんな知っていた。n=p+e+ν(ニュートリノ)という質量の等式を、1968年時点で高3の先輩が板書したのをハッキリ覚えている。 バカウンサーの大はしゃぎにうんざりした僕は、子供の頃よく行った浅草へ、自然足が向いた。折しも、酉の市の季節だった。僕は、ぼうっと突ったってた。なぜか湯煙が見え、やはり子供の頃の伊豆の思い出の中にいた。そこでは、美少女たちが、無垢な出立ちで湯船に浸っている。潜ってごらん、と言われのぼせそうになりながらも、湯中を僕は泳いで行った。と、いきなり目の前に湯気湧き立つコップが、、。現実に目覚めると、酉の市のお姉さんが一杯の甘酒を振る舞ってくれていた。 誘われて、普段はダンサーだというお姉さんと一緒に隅田川沿いに出ると、頭上には‘デネブ’が煌々と輝いていた。僕は感じずにはいられなかった。ここにも、天空から留めどもないニュートリノが降り注いでいる!ってことを。それは、浅草を人々が渦巻く雷門を、一気に駆け抜けさらに、リオまで通り抜けては、さァッと銀河の彼方へ去ってゆくってことを。。
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