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「みづからをしらん」として自己と世界を探求した道元。固定化された自己を手放せ。そのとき私は悟り、世界が目覚める。そしてそれこそが「有時」、すなわち「生きてある時」の経験なのだ──。『正法眼蔵』巻頭の「現成公案」巻を皮切りに全87巻の核心を明快に解説。「仏性」巻に道元思想の到達点をさぐる。道元の文章に即しながら、無常や因果など仏教の伝統的テーマを、存在・認識・言語という哲学的視点から鮮やかに読み解く。 文庫版まえがき はじめに 自己を知る 真理の探求と伝達 『正法眼蔵』とは 序章 道元思想の基底『正法眼蔵』巻頭、「現成公案」巻をよむ 一 修証の循環構造における自己と世界 俗人に与えた導きの書 自己をならう 自己をわするる 万法に証せらるる 自己と他己の身心脱落 二 修証のプロセスと分節構造 発心修行の時節と開悟成道の時節 迷悟の分節とその無化 分節、無分節、そして無分節を踏まえた新たな分節 三 迷と「さとり」の関係 迷悟一如 無分節の分節としての生死 第一章 真理と言葉 道元における二種の言語 真理をどう表現するか 「青山常運歩」という言葉 先入観の相対化 第二章 言葉と空 主観の構図──「一水四見」 「空」について 第三章 自己と世界 「青山常運歩」とはどのような事態か 自己と全体世界との関係 第四章 「さとり」と修行 「同時成道」について 「修証一等」とは何か 「空華」という存在 脱落と現成 俗世と「空」 第五章 時・自己・存在 「有時」について 自己と時 時の連続性と非連続性 時と修証 補論 道元の「仏性」思想 一 道元の「仏性」に関する基本理解──「是什麼物恁麼来」「悉有の一悉」「是何姓」 (1)『涅槃経』の「一切衆生悉有仏性」 (2)「是」と「何」──四祖道信と五祖弘忍との問答 二 仏性の顕現に関する表現──「仏性空」「仏性海」「無常仏性」 (1)「仏性空」の顕現と「無」 (2)「仏性海」という真理 (3)「無常仏性」と無窮の自己超越 三 龍樹「身現円月相」──「除我慢」「以表諸仏体」 四 「仏性」と時間──「時節」の「若至」「既至」「到来」 【コラム1】西洋哲学と道元禅──「エアアイグニス」と「性起」の間 【コラム2】道元の死生観 【コラム3】道元を変えた老典座との出会い 巻末資料1 道元小伝 巻末資料2 読書案内 あとがき 文庫版あとがき
レビュー(7件)
届きました。真理はそれぞれが見つけるもの。同一化で終わらないもの。
正法眼蔵入門「頼住光子」
分かりやすく非常に面白い。正法眼蔵を読んだことのある人にも、そうでない人にも意義ある本。