著者は、世界の宗教史でただ一人あげよ、といわれたら法然をあげるという。なぜか。一言でいえば、「凡夫」のための宗教は、法然を持ってはじめて世に出現したからである。「凡夫」とは、「自己中心性」から逃れられない人間のことである。自己のためにはすべての欲望が総動員される。神仏を祈願するといっても、内容は、是が非でも自己の欲望を遂げようという脅迫であることも少なくない。「凡夫」に救いはあるのか。あるとすればいかなる教えなのか。この世の一切の営みを超えた宗教的価値の絶対性をはじめて明確に主張した法然の革命的意義を新たな視角から解き明かす。
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基層、日本仏教の生成。
現在の日本仏教の生成過程が詳述されている。日本人の宗教性の基層となるものが進展展開する流れが理解できる。 法然上人の教えの真髄も、文献を十分に引用がなされ、深い洞察が示されている。 この本と併せて、『日本社会の歴史』網野善彦、岩波新書、を読むとさらに、日本仏教の生成過程が見えてくるかもしれません。