「子どもの発達」=「個体能力の発達」として枠づけられ、学校が制度化のなかに絡めとられている。--1960年代から、この問題に向き合い数々の著作を生み出してきた著者が、過去の論文・書籍を今一度読み直し、手を加え、現在の考えや思いを「補注」として記すかたちで編集した書。いじめや不登校が減らない現実、発達障害への過度の注目、子育てや教育をめぐる意識の変化など、現代社会で生じている出来事や現象に触れながら、その課題を一つひとつ紐解く。
はじめに
第1部 発達心理学が注目されはじめた時代に
第1章 発達心理学は人間の理解にとどくのか
知ることは変わること
1 なぜ人間理解について論じるのか
2 発達心理学の制度化
3 発達心理学の定義にみる自己規定
第2章 人の発達を生活世界の形成過程として見る
人間の全体的な理解のために
1 個体能力、関係力動、状況世界という三つのレベル
2 発達は順行的な形成の過程である
3 完態の視点から見た「個体能力論」の逆行性
第3章 疎外の個体発生論に向けて
生活世界という見方
1 生活世界のなかの場と時
2 状況世界に巻き込まれて
間奏:四〇年前に語ろうとしたこと
第2部 「発達、発達」と叫ばれるこの時代の発達心理学
第4章 学校で学ぶことの意味とその反転
発達と学校制度
1 「成績」という名の教育評価──その慣性と違和
2 学校は何をするところか
3 あらためて評価の意味を問う
第5章 発達心理学研究は人間理解を放棄したのか
学会の外から見た学会の風景
1 発達心理学の制度化
2 個体能力論の壁
第6章 発達障害を考える──「発達」をめぐる誤解と混乱
「発達、発達」と叫ぶこの時代
1 時代の変化と発達
2 「脚力」という比喩
3 「発達障害」の蔓延と個体化
4 私たちは「理由の世界」を生きている
筆者の関連著作一覧
おわりに
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