本書の目的は、日本企業の実態を踏まえた実証研究を通じて、戦後から現代に至るまでの期間を対象に、日本企業が独自に開発したシステムと、「日本的受容形態」を超えた米国発管理会計システムの日本企業への導入に関する経時的な分析を行うことである。
これまで管理会計研究の分野では、どちらかといえば目的論的なアプローチがとられてきた。環境制約下で明確な目的をもって管理会計システムが導入され、計画通りに実行されたというスタンスに立った研究(このことを暗黙の前提においた研究)が多かったと言える。管理会計システムの導入目的や導入の背景、システム設計については詳しいが、導入プロセス、導入の失敗、導入当初は意図していなかった効果の発現等はあまり考慮されてこなかった。
著者は、日本会計研究学会特別委員会のメンバーとして、科研費補助金基盤研究(A)からの補助金も受けて導入研究に携わる機会を得た。この研究を通じて学んだことは多いが、特に印象に残ったのは、新たな管理会計システムを企業に導入するのは非常に大変であり、必ずしも事前の計画通りに実行できるとは限らないことである。また、Kaplanはイノベーションアクションリサーチと呼んでいるが、ABC/ABMやバランスト・スコアカードの研究プロセスを見ても、Kaplanがあらかじめ事前に練った研究計画を忠実に実行した結果として各システムが誕生・進化してきたとは言い難い。目的論のみに依存しない研究が必要である。
そこで、進化という概念を用いて、本書のタイトルを『管理会計の進化ー日本企業にみる進化の過程ー』とした。
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