山下舞実と有村律は私立梅ヶ丘高校美術部二年生。二〇一九年五月、高崎線線路脇に美術部の秋山奈留美の遺体が発見、後頭部をハンマーで強打され死亡。同年九月、同じ美術部の御法川唯の校舎四階からの転落遺体発見。T県警はいずれも殺人事件と断定。奈留美と唯は秘密女子高生クラブで売春していた。クラブの頂点は同高校樋山理事長の長男の孝明であった。樋山の長女、麻里の夫、代田一馬は学校の理事、美大出身の山城由岐恵と不倫をし、美術部の顧問として就職させた。ある時ラブホテルから二人が出て来たところを奈留美と唯に見られた。二人の殺害は孝明か代田かが疑われた。 律はあるツイッターから鎌倉源氏山トンネルを恋人同士が通り抜けるとタイムスリップできると知り、二人の親友を助けるために舞実とトンネルに入った。トンネルの中で急に雷鳴が轟き、トンネルを抜けて、十月から三月へタイムスリップできた。五月の奈留美、九月の唯の殺害を回避できる筈だ。奈留美は殺害当日に現場付近の公園に呼び出され、代田と山城が待ち構えていた。律と舞実は咄嗟に奈留美! と声がけし、代田らによる殺害計画を回避させた。秘密クラブの件は週刊誌へリーク、代田と山城の不倫は樋山理事長へ告発状を送付。それにより孝明は未成年売春斡旋罪で逮捕。山城は学校を退職。代田は麻里からも離婚。律と舞実は、源氏山トンネルの反対側から入り、元の十月に戻った。 しばらくして、樋山理事長の車が高崎線の踏み切り内で列車に衝突し死亡。大型トラックが後ろから車を踏み切り内へ押したことが判明。トラックは代田運送のもので、代田一馬が自首。動機は樋山理事長への恨みからだと。律と舞実はタイムスリップして、奈留美と唯の命は守ったが、別な殺人事件を起こしてしまったと悔やんだ。 二〇二〇年二月、律は自転車でトラックにはねられ、意識不明。一週間経っても意識は回復せず、植物人間状態。舞実は奈留美に恋人とトンネルへ入って律を助けてくれるよう頼んだ。奈留美はトンネルに入り一年前に戻った。奈留美は樋山理事長の踏切り事故の日に、舞実、律、唯らと事故直前で樋山を車から引き出し、未然に防いだ。T県警徳山刑事の調べで、律の事故を起こしたトラックの助手席に山城が同乗していたことが判明。舞実、奈留美たちは徳山刑事に山城に接触し、律の命を狙うことは無駄であると説得させた。これで全ては終りだと思った。 ある日曜日の朝、舞実は目覚めると二〇一九年二月だった。すべてが起こる前だ。母親に自分は今、何年生か訊いた。「一年生に決まっているでしょ」 すべては夢だったのか? そうだ夢だったんだ。
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