ラクダは古くから、伝統的アラブ社会の生活や文化の形成に深くかかわり、生活の糧としてのみならず言語や文学、芸術、生活様式や価値観にも多大な影響を与えてきた。アラブ遊牧民はラクダをどう位置づけ、どう扱い、共に生きてきたのか。
砂漠の民が用いるラクダに関する様々な言葉、伝説や文献などの資料、現地調査をもとに、「ラクダ」という動物と、それと深くかかわってきた家畜文化・遊牧民文化・アラブ文化の実態を克明に描き出す。
《目次》
はじめに
第1章 アラブのラクダ観
第2章 名高いラクダーーアラブ種の名種、名産地
第3章 ラクダを崇めるーーサムード族伝説と神聖ラクダ
第4章 ラクダを記すーー歴史に名高いラクダ
第5章 ラクダを叙すーーラクダの体の部位(1)
第6章 ラクダのコブ(瘤)についてーーラクダの体の部位(2)
第7章 ラクダの蹄についてーーラクダの体の部位(3)
第8章 ラクダが生きるーー成長段階
第9章 ラクダが年とるーーラクダの年齢階梯
第10章 ラクダが群らがるーー「群れ」考(1)
第11章 ラクダを数える、頭数ーー「群れ」考(2)
第12章 ラクダが鳴く(1)--アラブの擬声音文化考(1) ラクダ以外の動物のオノマトペ
第13章 ラクダが鳴く(2)--アラブの擬声音文化考(2) ラクダのオノマトペ
第14章 ラクダが運ぶーー駄用ラクダ
第15章 ラクダが引っ張るーー牽引用ラクダ
第16章 ラクダに乗るーー乗用ラクダ・旅用ラクダのこと
第17章 ラクダが歩くーー距離単位、ラクダ日
第18章 ラクダが踊るーーキャラバンソングについて
第19章 ラクダに据えるーーラクダ鞍の考察
第20章 ラクダに掛ける、吊るすーー運搬用荷具
第21章 ラクダで身をあがなうーー血の代金とラクダ
第22章 ラクダで娶るーー婚資について
第23章 ラクダで税を払う
第24章 ラクダを信じるーーラクダに関する俗信
引用・参照文献
おわりに
文庫版あとがき
レビュー(1件)
・「ラクダの生態」「ラクダに支えられた暮らし」が半々。「暮らし」には物足りぬ部分も多い。「文庫版あとがき」で、本書の続編『ラクダの跡』の目次詳細を記し、著者はこのように書いている。 「初版の「おわりに」に記したように、ラクダへの積み残しの内容が多くなってしまった。この本を出版以降、折に触れラクダ文化の深層を追求し、そうした積み残しの内容を調べ吟味してきた。そして定年退職後の、二〇一五年一月に『ラクダの跡――アラブ基礎文化を求めて』を第三書館から出版した。本書『ラクダの文化史』の「おわりに」で触れた「積み残し」多くが言及されている」 故に、本書の続編『ラクダの跡』を法蔵館文庫で再刊できぬか。『ラクダの跡』のほうが「暮らし」には詳しそうだが、入手困難なのが残念。特に、『ラクダの跡』「第6章 ラクダで旅する――旅は連れだちラクダに乗って」は、節名を見るだけで、旅行史好きには大いに食指を動かされる。『ラクダの跡』と、本書は「車の両輪」のよう関係と拝察。『ラクダの文化誌』だけでは、片落ち感は否めない。 ・言語からも「ラクダとアラブ」を描こうとしていたのだろう。が、ラクダ関係のアラビア語の解説が多過ぎる。もう少し少なければ他の部分の理解に労力を使えた。 ・アラビア半島およびその周辺部の地図を付けてほしかった。地理には疎いほうではないが、馴染みのない地名を連呼されてもよく分からない。 ・アラブはラクダあっての地域との印象。