書籍の流通量が爆発的に増えたことで、地方へ/からの情報の流通、下の階層への知の解放が行われた近世。
貴族の古典として『古今和歌集』や『伊勢物語』とともに特別の地位を占めていた『源氏物語』もまた、広く庶民に受け入れられ、「古典」化がなされた。『源氏物語』についての知識がある程度拡がり、共有され、その俗語訳作品や翻案作品が多く作成・刊行されたが、それらの多くは翻刻もされておらず、注目されているとは言い難い。
源氏物語の俗語訳・翻案として近世期に広く流布した都の錦『風流源氏物語』、梅翁(奥村政信)『俗解源氏物語』『若草源氏物語』『雛鶴源氏物語』『紅白源氏物語』の全篇を校注で読みやすく初提供。
全ての挿絵も収載し、研究のための基盤を提供する。
また、国内外の一級の研究者による優れた論考を収載。
これまで注目されてこなかった古典享受における歴史的展開を考察するための新たな研究の地平を拓く。
序
凡例
都の錦『風流源氏物語』 校訂・注:新美哲彦 翻刻:柿嵜理恵子
解説 レベッカ・クレメンツ
梅翁『若草源氏物語』 校訂・注:新美哲彦 翻刻:大塚誠也
梅翁『雛鶴源氏物語』 校訂・注:新美哲彦 翻刻:平田彩奈惠
梅翁『紅白源氏物語』 校訂・注:新美哲彦 翻刻:大塚誠也
梅翁『俗解源氏物語』 校訂・注:新美哲彦 翻刻:伊永好見
解説 レベッカ・クレメンツ
論考
江戸時代における「俗語訳」の意義 レベッカ・クレメンツ
女性にふさわしくない本?-十七世紀後半の日本における『源氏物語』と『伊勢物語』 ピーター・コーニツキ(翻訳:常田槇子)
テクストの改替 マイケル・エメリック(翻訳:幾浦裕之)
梅翁/奥村政信『源氏物語』の挿絵とテクスト 新美哲彦
あとがき
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