著者小木貞孝が作家加賀乙彦と同一人物であり、精神科医であることは知られているが、フランス精神医学の大家であることを知る人は少ない。本書に収録された3論文は著者が若き日にフランスで研鑽した成果とその発展である。
碩学エーから逸才ラカンの初期論文にいたるまで、妄想をめぐるフランス精神医学界の学説を統計的に論述し、著者の学識とセンスが存分に発揮された「フランスの妄想研究」。
つづく「ミンコフスキー論」ではベングソンやフッサールを哲学的背景として、現象学的研究を補完する。精神病理学だけでなく文学にも大きな影響を与えたパシュラールを論じた終章も意味深い。
世界の妄想研究をリードしてきたフランス精神医学の精髄を抽出して、今日も変わらぬその重要性を示すとともに、厳正な批判と評価を下す重要文献。
Aフランスの妄想研究
一 症候論
・まえがき
・症候論概説
・十九世紀の症候論
・慢性幻覚精神病
・解釈妄想病
・空想妄想病
・熱情妄想病
・ドゥ・クレランボーの精神自動症
・影響妄想
・妄想直観
二 病因論
・まえがき
・パラノイア体質論
・ラカンのパラノイア心因論
・妄想の器質論
・ピエール・ジャネの妄想論
・エーの妄想論
・あとがき
Bミンコフスキーの妄想論とその周辺
・ミンコフスキーの妄想論
・心因性妄想の問題
・ミンコフスキーとエー
・ミンコフスキーとヤスパース
・ミンコフスキーとビンスワンガー
C物質的想像力と心象夢
G・バシュラーをめぐって
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