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ついに18年ぶりの優勝を果たし、沸き立つ阪神タイガース。 そのタイガースの歴史上、「最大のミステリー」とされる人物がいる。 第8代監督・岸一郎。 1955(昭和30)年シーズン、プロ野球経験ゼロの還暦を過ぎたおじいさんが、突然、タイガースの一軍監督に大抜擢されてしまったのだ。 「なんでやねん?」 「じいさん、あんた誰やねん?」 困惑するファンを尻目に、ニコニコ顔で就任会見に臨んだ岸一郎。 一説には、「私をタイガースの監督に使ってみませんか」と、手紙で独自のチーム改革案をオーナーに売り込んだともいわれる。 そんな老人監督を待ち構えていたのは、迷走しがちなフロント陣と、ミスタータイガース・藤村富美男に代表される歴戦の猛虎たち。 メンツを潰された球団のレジェンド、前監督の松木謙治郎も怒りを隠さない。 不穏な空気がチームに充満するなかで始まったペナントレース。 素人のふるう采配と身勝手に振る舞う選手たちは互いに相容れず、開幕後、あっという間にタイガースは大混乱に陥っていく……。 ファンでも知る人は少なく、球史でも触れられることのないこの出来事が単なる“昭和の珍事”では終わらず、 タイガースの悪しき伝統である“お家騒動体質”が始まったきっかけとされるのは、なぜなのか? そもそも岸一郎とは何者で、どこから現れ、どこへ消えていったのか? 大阪─満洲─敦賀。ゆかりの地に残された、わずかな痕跡。 吉田義男、小山正明、広岡達朗ら当時を知る野球人たちの貴重な証言。 没年すら不詳という老人監督のルーツを辿り、行方を追うことで、日本野球の近代史と愛憎渦巻く阪神タイガースの特異な本質に迫る! (著者について) 村瀬秀信 (むらせ ひでのぶ) 1975年生まれ。ノンフィクション作家。神奈川県茅ケ崎市出身。県立茅ヶ崎西浜高校を卒業後、全国各地を放浪。 2000年よりライターとしてスポーツ、カルチャー、食などをテーマに雑誌、ウェブで幅広く執筆。 2017年から文春オンライン上で「文春野球コラムペナントレース」を主宰するほか、プロ野球関連イベントの司会・パネリストとしても出演多数。 著書に『4522敗の記憶』(双葉社)、『止めたバットでツーベース』(双葉社)、『気がつけばチェーン店ばかりでメシを食べている』シリーズ(講談社)などがある。
レビュー(17件)
敦賀に異人あり
阪神恒例のお家騒動発端は敦賀のおじいちゃんだった。とにかく面白かった。一気に読めました。
フニフニフニフニ監督はミックスモダンです
謎が謎呼ぶ阪神監督 ああパイプ加えて探偵登場。
昔から内部騒動がお家芸と言われる阪神タイガース。その1ページ目ということが、この本でわかりました。