こころの援助者も、こころをもった人間なので、相手に対してネガティブな気持や、ポジティブすぎる気持も抱いたりします。そうした“生きたこころ”を基本としていないならば、援助者のこころはバーンアウトしかねませんし“死んだ援助”にもなりかねません。ただし、生きたこころは取扱注意の“生もの”なので、それを《逆転移》として認識し、クライエントの益に供する営みが必要とされるのです。--本書では、対人援助職の誰もが扱いに戸惑う「みずからのこころ」の使い方を、5つの自験例をめぐって提案します。
序 章 ことのはじまり
ケースA 耐え難いうんざり感ーー自閉スペクトラム症の成人女性
ケースB 言うわけにはいかない異様さーー不登校の思春期男子
ケースC 可憐な少女のもたらす苛立ち感ーー摂食障害の青年期女子
ケースD どうしようもない薄幸さーー買い物依存の主婦
ケースE 気圧される佇まいーー抑うつ状態の青年実業家
○プロローグ
●第I部 逆転移とは何かーー総論
第一章 逆転移論の始まりーー克服されるべきものとして
第二章 コペルニクス的転換ーー無意識を探索する道具として
第三章 グループにおける発見ーー逆転移の臨床的意義
第四章 セラピストの基本姿勢ーー正常な逆転移
第五章 その後の逆転移論の流れーー認識的活用/表出的使用
●第II部 逆転移を使う実際ーー各論
第一章 こころを使う その壱ーー日本における多様な〈逆転移〉観
第二章 こころを使う その弐ーー諸外国のクラシカルな〈逆転移〉観をたどって
第三章 こころを使う その参ーー諸外国のより新しい〈逆転移〉観の展開
終 章 ことの顛末ーー臨床素材の行く末
ケースA 他者性の存在しない世界ーー分離を許されぬ怒りの逆転移
ケースB 迫害的相貌の世界ーー怖れおののいた逆転移
ケースC 可憐さの裏に潜むマゾヒズムーー苛立ち焦らされた逆転移
ケースD 隠された自己愛ーー無力さとあっけにとられた逆転移
ケースE 子宮内回帰願望という死の本能ーー恥のうわ塗りの逆転移
○エピローグ
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